新年度のスタートとなる4月を迎えて早くも1ヶ月が経過しようとしています。
中学生になったばかりのお子さんがいる場合、まだ中学卒業後の進路を意識する余裕もないと思います。
しかし高専の中には、中学1年生の成績を推薦入試の出願基準に用いることを公表している学校があります。
このような学校に進学を希望する場合、初めての定期テストや初めての通知表(内申点)もすべて、高専の入試に影響する可能性があります。
令和6年度の推薦入試において、中学1年生の成績も出願基準に用いられたのはどの学校か、1年生の成績がどの程度影響したのか、ご紹介します。
なお、令和7年度入試の募集要項はこれから公表されるため、進学を検討している方は各学校のホームページで最新の情報を確認してください。
苫小牧高専
学習点(9教科5段階評定を1年生と2年生は2倍、3年生は3倍した数の合計)が252以上
内申点のことを、苫小牧高専では学習点と呼んでいます。
満点の場合、以下のような配点になります。
1年 | 2年 | 3年 | 合計 |
45×2倍=90 | 45×2倍=90 | 45×3倍=135 | 315 |
苫小牧高専の推薦入試に出願するには、252÷315=80%以上の得点が必要です。
また、1年生の配点は3年生よりは低いものの、全体の3割程度を占めるので、2年生や3年生で挽回するのはかなり大変です。
1年生の時点で36以上の内申点が目標になります。
旭川高専
①中学校3年間における9教科の5段階評定の合計が105以上及び主要5教科の5段階評定の合計が60以上
②第3学年における9教科の5段階評定の合計が35以上及び主要5教科の5段階評定の合計が20以上
③中学校3年間における数学の5段階評定が各学年で4以上であること及び第1学年、第2学年の5段階評定の合計をそれぞれ2倍、第3学年の5段階評定の合計を3倍した数の総和が236以上
旭川高専は、推薦入試に出願できる基準を3つ設けています。
このうち①と③が中学1年生からの成績を加味した基準となっています。
基準①
①の基準の場合、満点は以下のような配点になります。
9教科の合計 | |||
1年 | 2年 | 3年 | 合計 |
45 | 45 | 45 | 135 |
①の基準では、105÷135=77.8%以上の得点が必要です。
1年生の時点で35以上の内申点が目標になります。
主要5教科の合計 | |||
1年 | 2年 | 3年 | 合計 |
25 | 25 | 25 | 75 |
①の基準では、主要5教科について60÷75=80%以上の得点が必要です。
5教科合計で20以上の内申点が目標になります。
基準③
③の基準では満点は以下のようになります。
1年 | 2年 | 3年 | 合計 |
45×2倍=90 | 45×2倍=90 | 45×3倍=135 | 315 |
③の基準では236÷315=74.9%の得点が必要であり、かつ数学の内申点が4以上でなければなりません。
1年生の時点で34以上の内申点が目標になります。
八戸高専
5段階評定の3年間の総計が108以上
満点の場合、以下のような配点になります。
1年 | 2年 | 3年 | 合計 |
45 | 45 | 45 | 135 |
八戸高専の推薦入試に出願するには、108÷135=80%以上の得点が必要です。
1年生の時点で36以上の内申点が目標になります。
仙台高専
調査書の各記録が優良であり、選択科目を除く9教科の3年間の「学習記録」の評定(一律5段階評定)の合計が108以上
満点の場合、以下のような配点になります。
1年 | 2年 | 3年 | 合計 |
45 | 45 | 45 | 135 |
仙台高専の推薦入試に出願するには、108÷135=80%以上の得点が必要です。
1年生の時点で36以上の内申点が目標になります。
秋田高専
①5段階で、9教科の3年間の評定合計が100以上で、第2学年および第3学年の数学、理科の評定が4以上
②第3学年の9教科の5段階の評定の計が30以上で、かつ、第3学年の数学および理科の評定が4以上
③3年間の数学および理科の評定が4以上で、かつ、3年間の数学および理科の評定の計が27以上
秋田高専は、推薦入試に出願できる基準を3種類設けています。
このうち1年生の成績に関係する基準は、①と③となっています。
基準①
①の基準では、満点の場合、以下のような配点になります。
1年 | 2年 | 3年 | 合計 |
45 | 45 | 45 | 135 |
①の基準を満たすためには、100÷135=74.1%以上の得点が必要です。
1年生の時点で34以上の内申点が目標になります。
なお①の基準では、数学と理科の内申点について考慮されるのは2年生からとなっています。
基準③
③の基準では、満点の場合、以下のような配点になります。
1年数学 | 1年理科 | 2年数学 | 2年理科 | 3年数学 | 3年理科 | 合計 |
5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 5 | 30 |
③の基準を満たすためには、27÷30=90%以上の得点が必要です。
数学と理科だけの基準となっている分、非常に高いハードルとなっています。
数学と理科の3年間の評定が4以上という基準もありますが、現実的に合計27をクリアするにはほとんどが5でなければならず、一度でも3以下になってしまうと合計27をクリアするのは非常に厳しくなります。
鶴岡高専
①5段階評定の場合、9教科の第1学年から第3学年までの5段階評定合計が98以上
②中学校3年間の累積としての総合評定が10段階の場合、9教科の評定の合計が65以上
①と②の基準は、中学校における評定の方法の違いによるもので、いずれかを受験生が選択するわけではありません。
基準①
①の基準では、満点の場合、以下のような配点になります。
1年 | 2年 | 3年 | 合計 |
45 | 45 | 45 | 135 |
①の基準を満たすためには、98÷135=72.6%以上の得点が必要です。
1年生の時点で33以上の内申点が目標になります。
基準②
②の基準では、65÷90=72.2%以上の得点が必要です。
評定の方法が「3年間の累積としての各教科の学習成績の総合評定」となっているため、1年生の時点でどれだけの内申点が必要とはいえませんが、①の基準と同程度の内申点は必要になります。
福島高専
第1学年,第2学年,第3学年1学期および第3学年2学期の必修5教科(国語,社会,数学,理科,外国語)の5段階評定の合計が84以上でかつ他の4教科(音楽,美術,保健体育,技術家庭)の5段階評定の合計が 60以上(2学期制の場合は第3学年前期の評定を2倍して計算する)
なお、第3学年において教科の評定に1がない
基準としては1つですが、その中に多くの条件が設けられています。
条件(1)
⑴第1学年,第2学年,第3学年1学期および第3学年2学期の必修5教科(国語,社会,数学,理科,外国語)の5段階評定の合計が84以上
⑴の基準の満点は、以下のようになります。
1年 | 2年 | 3年1学期 | 3年2学期 | 合計 |
25 | 25 | 25 | 25 | 100 |
この基準を満たすには、84÷100=84%以上の得点が必要です。
1年生の時点で必修5教科の内申点は、21以上が目標になります。
条件(2)
⑵第1学年,第2学年,第3学年1学期および第3学年2学期の他の4教科(音楽,美術,保健体育,技術家庭)の5段階評定の合計が 60以上
⑵の基準の満点は、以下のようになります。
1年 | 2年 | 3年1学期 | 3年2学期 | 合計 |
20 | 20 | 20 | 20 | 80 |
この基準を満たすには、60÷80=75%以上の得点が必要です。
1年生の時点で他の4教科の内申点は、15以上が目標になります。
⑴と⑵の基準を両方満たさなければならないことに注意が必要です。
茨城高専
第1学年、第2学年及び第3学年の9教科の成績が、5段階評価の評定の合計で118以上
満点の場合、以下のような配点になります。
1年 | 2年 | 3年 | 合計 |
45 | 45 | 45 | 135 |
この基準を満たすには、118÷135=87.4%以上の得点が必要です。
1年生の時点で39以上、できれば40以上の内申点が目標になります。
小山高専
1年、2年及び3年の国語、社会、数学、理科、英語の5教科の5段階評価合計が63以上(平均4.2以上)
満点の場合、以下のような配点になります。
主要5教科の合計 | |||
1年 | 2年 | 3年 | 合計 |
25 | 25 | 25 | 75 |
この基準を満たすには、63÷75=84%以上の得点が必要です。
1年生の時点で、国語、社会、数学、理科、英語の5教科について21以上の内申点が目標になります。
鈴鹿高専
中学校3年間における9教科の5段階評価の合計(内申点)が110以上
満点の場合、以下のような配点になります。
1年 | 2年 | 3年 | 合計 |
45 | 45 | 45 | 135 |
この基準を満たすには、110÷135=81.4%以上の得点が必要です。
1年生の時点で37以上の内申点が目標になります。
舞鶴高専
中学校等の第1学年、第2学年及び第3学年の9教科の学業成績が、5段階評価で合計108(平均4)以上
満点の場合、以下のような配点になります。
1年 | 2年 | 3年 | 合計 |
45 | 45 | 45 | 135 |
この基準を満たすには、108÷135=80%以上の得点が必要です。
1年生の時点で36以上の内申点が目標になります。
和歌山高専
9教科の評定が5段階評価で、3年間平均4.0以上(合計108以上)、かつ3年次は9教科合計36以上
満点の場合、以下のような配点になります。
1年 | 2年 | 3年 | 合計 |
45 | 45 | 45 | 135 |
この基準を満たすには、108÷135=80%以上の得点が必要です。
1年生の時点で36以上の内申点が目標になります。
なお3年生における内申点の基準が別に設けられていますが、1年生の段階では特に気にする必要はないでしょう。
呉高専
第1学年から第3学年までの9教科の学業成績の総計が5段階評価で114以上(9教科の平均が4.2以上)
満点の場合、以下のような配点になります。
1年 | 2年 | 3年 | 合計 |
45 | 45 | 45 | 135 |
この基準を満たすには、114÷135=84.4%以上の得点が必要です。
1年生の時点で38以上の内申点が目標になります。
高知高専
第1学年及び第2学年が5段階評定で第3学年が10段階評定の場合、9教科の学習の記録の評定合計(満点180点)が120点以上、又は第1学年から第3学年までが5段階評定の場合、評定合計(満点135点)が90点以上
学校によって、3年生の評定が10段階になる場合と5段階になる場合があり、その違いによってそれぞれの基準が設けられています。
10段階の場合
3年生の評定が10段階の場合、以下のような配点になります。
1年 | 2年 | 3年 | 合計 |
45 | 45 | 90 | 180 |
この基準を満たすには、120÷180=66.7%以上の得点が必要です。
5段階の場合
3年生の評定が5段階の場合、以下のような配点になります。
1年 | 2年 | 3年 | 合計 |
45 | 45 | 45 | 135 |
この基準を満たすには、90÷135=66.7%以上の得点が必要です。
そのため、10段階評価になる場合も5段階評価になる場合も、1年生の時点で30以上の内申点が目標になります。
佐世保高専
①第1学年から第3学年までの9教科の成績が5段階評価で合計110以上
②第1学年から第3学年までの9教科の成績が5段階評価で合計102以上かつ理科及び数学の3年間の5段階評価の平均がそれぞれ4以上
佐世保高専は、推薦入試に出願できる基準を2種類設けています。
基準①
①の基準の場合、満点は以下のような配点になります。
1年 | 2年 | 3年 | 合計 |
45 | 45 | 45 | 135 |
この基準を満たすには、110÷135=81.4%以上の得点が必要です。
1年生の時点で37以上の内申点が目標になります。
基準②
②の基準の場合、9教科の満点は以下のようになります。
1年 | 2年 | 3年 | 合計 |
45 | 45 | 45 | 135 |
9教科の基準を満たすには、102÷135=75.6%以上の得点が必要です。
1年生の時点で34以上の内申点が目標になります。
そのうえで、理科と数学について、それぞれ個別に基準が設けられています。
理科と数学については、それぞれ4以上の内申点が目標になります。
大分高専
3年間の9教科学習成績5段階評定の総計が114以上(3年の成績は2学期までのもの)
満点の場合、以下のような配点になります。
1年 | 2年 | 3年 | 合計 |
45 | 45 | 45 | 135 |
この基準を満たすには、114÷135=84.4%以上の得点が必要です。
1年生の時点で38以上の内申点が目標になります。
都城高専
3年間の9教科学業成績5段階評定の総計が111以上
満点の場合、以下のような配点になります。
1年 | 2年 | 3年 | 合計 |
45 | 45 | 45 | 135 |
この基準を満たすには、111÷135=82.2%以上の得点が必要です。
1年生の時点で37以上の内申点が目標になります。
沖縄高専
3年間9教科の5段階評定の合計が108以上かつ理科及び数学の3年間の5段階評定の合計がそれぞれ13以上(3年の成績は出願前の最も新しい成績)
沖縄高専は、推薦入試に出願できる基準として2つの条件を定めています。
条件⑴
9教科の評定に関して満点の場合、以下のような配点になります。
1年 | 2年 | 3年 | 合計 |
45 | 45 | 45 | 135 |
この基準を満たすには、108÷135=80%以上の得点が必要です。
1年生の時点で36以上の内申点が目標になります。
条件⑵
理科と数学について、満点の場合は以下のような配点になります。
1年 | 2年 | 3年 | 合計 |
5 | 5 | 5 | 15 |
この基準を満たすには、13÷15=86.7%以上の得点が必要です。
理科、数学ともに4以上、できれば5を取ることが目標になります。
【まとめ】内申点は急に上がらないので、1年生からの積み重ねが重要
一般的に高校入試では、入試が実施される直前の内申点のみが用いられるため、3年生になってから頑張れば何とかなると考える方が多いと思います。
しかし、高専の推薦入試では、1年生からの内申点が出願基準として用いられる学校も多くなっています。
このような学校を志望校にしたいと考えている場合は、3年生になってから頑張っても遅すぎるため、はじめから入試を意識して中学校生活を送るようにしましょう。
また、受験が近づいてくると他の人も成績アップを目指すため、内申点を後から上げるのは大変です。
今回取り上げた学校以外を志望する場合でも、最初が肝心と思って内申点を上げる努力をしていきましょう。
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