国公立高専の一般入試の比較 ②学科試験の試験科目と科目ごとの配点

高専の入試

国公立高専の令和6年度入学生の学力検査は、すべての学校において令和6年2月11日(日)に実施されます。
試験の日程がすべて一律に決められているだけでなく、試験問題は独立行政法人国立高等専門学校機構が作成するものが使われますし、時間割や実施時間もすべて統一されています。
それでは学校ごとの違いはないかというと、試験問題などは同一でも、その配点や試験の実施科目などには違いがあります。
基本的には自宅から近い高専を受験する方が多いでしょうが、試験内容を把握したうえで受験する学校を選ぶこともできますので、参考にしてください。
ここでは、一般入試で実施される学科試験について、その科目と配点の違いを確認していきます。

学科試験には各学校の考え方が現れている

高専の一般入試における学科試験では、基本的に国語、社会、数学、理科、英語の5科目の試験が実施されます。
ちなみに、学科試験当日の時間割はいずれの学校においてもすべて統一されています。

1時間目9:30〜10:20理科
2時間目10:40〜11:30英語
3時間目11:50〜12:40数学
4時間目13:30〜14:20国語
5時間目14:40〜15:30社会

時間割や試験時間が統一されているのは、すべて同一の試験問題で試験が行われるためです。
全国のすべての高専において、受験生は同じ問題を解くということになります。
ただ、時間割が定められているからといって、すべての高専でこの5科目の試験が実施されるわけではありません。
試験科目が少なくなっている高専があるので、そのような高専では決められた時間に試験が実施されないこととなります。

学科試験が4科目で実施される学校

学科試験が5科目でなく4科目で実施される学校は、すべて5時間目の社会の試験を実施しない学校ばかりです。
社会の勉強は、この先高専で専門的な学習を進めていく中では最も関連が薄く、歴史や地理、政治・経済などの深い知識は必要ないと考えられます。
社会の学科試験をなくすことで、その分数学や理科、英語などの勉強にあてる時間を増やすことができるため、高専での学習に必要な知識をより深くつけておいてほしいと学校が考えているともいえます。
学科試験で社会が実施されない学校は以下のとおりです。

  • 秋田高専
  • 鶴岡高専
  • 東京高専
  • 石川高専
  • 岐阜高専
  • 和歌山高専
  • 都城高専
  • 鹿児島高専
  • 神戸市立高専

学科試験の配点の違い

一般入試では4科目ないし5科目の学科試験が実施されます。
試験問題や試験時間はすべて統一されていますが、配点は各学校によって自由に決められています。
そのため、すべての科目の得点が均等になっている学校もあれば、特定の科目の点数が高くなっている学校もあります。

すべての科目の得点が均等の学校

特定の科目の配点を高くすることなく、科目ごとの配点を均等にしている学校があります。
ただし、社会の試験を実施して5科目が均等となっている学校と、社会の試験を実施しないために4科目が均等となっている学校があります。

5科目

学校名理科英語数学国語社会
一関高専100100100100100
福島高専100100100100100
富山高専100100100100100
豊田高専100100100100100
奈良高専100100100100100
米子高専100100100100100
呉高専100100100100100
宇部高専100100100100100
香川高専100100100100100
佐世保高専100100100100100
大分高専100100100100100

4科目

学校名理科英語数学国語
秋田高専100100100100
石川高専100100100100
岐阜高専100100100100
和歌山高専100100100100
都城高専100100100100

数学のみ配点が高い学校

5科目ないし4科目の学科試験を行う中で、数学のみ配点を高くしている学校があります。
数学の知識は、高専で学ぶにあたっては必要不可欠であることから、数学の得意な学生を獲得したいという学校の意思が現れています。

5科目

学校名理科英語数学国語社会
仙台高専100100200100100

4科目

学校名理科英語数学国語
東京高専14142814
鹿児島高専100100200100
神戸市立高専100100200100

数学と理科の配点が高い学校

5科目の学科試験のうち、数学と理科の配点を高くしている学校があります。
いわゆる理系科目の得意な学生が有利になるような配点となっています。

学校名理科英語数学国語社会
茨城高専150100150100100
沼津高専150100150100100
松江高専140701407070
津山高専200100200100100
徳山高専150100200100100
阿南高専200100200100100
新居浜高専200100200100100
久留米高専150100150100100
北九州高専110100160100100
熊本高専150100150100100
沖縄高専200100200100100

数学と理科の配点を高くしている学校は、すべて5科目の学科試験を実施しています。
数学と理科の比重を高めながらも、社会を含めたその他の科目もバランスよく得点できる学生が合格を勝ち取ることができます。

数学と英語の配点が高い学校

5科目の学科試験のうち、数学と英語の配点が高い学校があります。
高専での学習に英語は欠かせないため、英語の得意な学生を獲得しようとする考えが現れています。

学校名理科英語数学国語社会
舞鶴高専100150150100100
明石高専100150150100100

ただし、数学と英語の配点が高い学校はわずか2校で、ごく少数派となっています。

数学、理科、英語の配点が高い学校

高専での学習にきわめて重要な数学、理科、英語の配点を高くしている学校は多くあります。
ただ、配点を高くしている科目の中でも、その得点に差をつけているケースがあります。

学校名理科英語数学国語社会
函館高専200200200100100
苫小牧高専200200200100100
釧路高専200200200100100
旭川高専200200200100100
八戸高専200150200100100
群馬高専150130150100100
長岡高専200200200100100
長野高専2倍2倍2倍1倍1倍
鈴鹿高専150150150100100
大阪公立大学高専150150150100100

配点が不明な学校

募集要項では、科目ごとの配点が公表されていない学校もあります。
ただ、試験科目は公表されており、5科目の学校と4科目の学校があります。

5科目

  • 小山高専
  • 木更津高専
  • 福井高専
  • 高知高専
  • 有明高専

4科目

  • 鶴岡高専

詳細が不明な学校

東京都立産業技術高専は、募集要項がオンラインでは公表されていないため、書面の募集要項を入手する必要があります。
そのため、学科試験の実施科目や配点など、詳細を知ることはできません。

学科試験で科目ごとの合格最低ラインを設けている学校

高専の中には、合否判定の基準のほか合格に必要な最低ラインを設定しているケースがあります。

一関高専

学力検査の各科目の得点が本校の定める基準に達しない場合は不合格となることがあります。

福島高専

学力検査の得点で、著しく低い科目がある場合は選抜しないことがあります。

岐阜高専

ある教科について、「本校の全学力選抜受験者の平均点の50%」に満たない得点の志願者は、調査書点、及び他の 3 教科の学力検査点に係わらず不合格とします。

呉高専

学力検査の各教科のいずれかの得点が、その教科の学力検査の平均点の60%に満たない場合は、原則として不合格とします。

大分高専

学力検査の数学の得点が全受験生の数学の平均点の 60%に満たない者は不合格となります。

点数が極端に低い科目がある場合、合計点では合格ラインに達していても、不合格となることがあるとされています。
基準については、明確に示されている学校とそうでない学校があるので、注意が必要です。
また、大分高専の場合は数学だけに基準が設けられているので、注意しましょう。

学科試験の配点は合否に大きく影響するので注意しよう

国公立高専の一般入試は、すべての学校で同じ試験問題を使って学科試験が行われます。
そのため、学校ごとに学科試験のために特別な対策をするのではなく、試験本番で実力を発揮できるようにすることが大きなカギとなります。
実力が均衡した受験生の中では、取りこぼしをしないようにすることが重要です。
また、合否判定では配点の高い科目の得点が大きく影響するので、配点の高い科目の勉強に力を入れる、あるいは得意科目の配点の高い学校を受験する、といった対応が求められることになります。



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