高専の入試は偏差値より相性?高専の入試で必ず確認しなければならないポイントとは

高専の入試

高専に進学したいと考えている人は、高校入試と同じように、内申点や偏差値から高専の入試難易度を調べる方が多いと思います。
ただ、高専の入試では、その学校の入学難易度を偏差値で計ることは難しいといわざるを得ません。
高専の入試が高校入試とはどのような点が異なるのか、その違いを確認しておきましょう。
その上で、高専の入試において、合否判定ではどのようなことがポイントになるのか、解説していきます。

高専入試と高校入試の最大の違いは人数

中学校を卒業して次の進路に進む際に、多くの方は高校への進学を考えています。
高校には、設置者の違いにより国立、公立、私立があるほか、通信制や定時制などの選択肢もあります。

また、中学校を卒業して就職する方も一定数います。
ただ、就職する人はかなり少数であり、大規模な中学校でも同級生の中に就職する人がいないということも珍しくありません。

そして、それ以外の選択肢としてあげられるのが、高専への進学です。
ただ、高専へ進学しようとする方はかなり少数派であり、高専を受験しようと考えている方の身近に、一緒に高専にチャレンジしようとする仲間がまったくいないことも考えられます。
圧倒的に高校受験する人が多く、高専を受験する人は少ないため、高専の受験にあたって注意しなければならないことがあります。

高専に入学するのは中学卒業生のわずか1%程度

文部科学者の統計「令和4年度学校基本調査『中学生 学年別生徒数』」によれば、中学3年生の人数は全国に約108万人、高専への進学者の大半が含まれる公立の中学3年生の人数は全国に約99万人となってます。
これに対して高専の定員は、国公立・私立、工業高専と商船高専をあわせて約10,500人となっています。
(工業高専に限定すれば定員は約1万人、さらに国公立の工業高専に限定すれば定員は約9,500人となります。)

すべての高専で考えても、中学校を卒業する生徒の中で、高専に進学する人はわずか1%程度です。
通学圏内に高専がある方が珍しいので、様々な条件を考えると、誰も高専に進学しないという中学校の方が多いかもしれません。

高専入試における偏差値によるボーダーラインはあくまで参考値

高専への進学希望者は少数であるため、高専入試は高校入試と切り離して考える必要があります。
そこでポイントとなるのは、高専の入試は単純に偏差値でボーダーラインを予測することが難しいということです。

学科ごとに募集している高専では、定員は40人となるのが一般的です。
また、一括募集している高専もあり、この場合は最大200人程度の募集となります。
これだけ定員が少なければ、志願者の数も少なくなります。
さらに高専の入試では、A高専がダメだからB高専に志願変更するといったことも起こりにくく、多くの志願者は「この高専に入りたい」という形で受験することとなります。
そのため、過去の入試データなどから、偏差値によるボーダーラインを推測することはできても、そのデータは絶対的なものではありません。
たまたまその高専や学科に人気が集中すれば、従来より高いボーダーラインになることも十分に考えられます。

このような現象は、高校入試でも起こる可能性はあります。
しかし、高校入試は受験者の数が多く、県単位や学区単位で高校の入学難易度は決まってくるため、1年でボーダーラインが大きく変わるということはありません。

高専入試は「アドミッションポリシー」と「選抜方法」が重要

このような受験の難しさは、新たな生徒を迎え入れる高専側にもあるのかもしれません。
ただでさえ「理系離れ」が叫ばれている中で、いかに学生をコンスタントに獲得していくのかは、高専にとって大きな課題です。

そもそも、志願者が定員に満たなければ、高専は定員割れとなってしまいます。
一方、志願者が定員を超えた場合には、どのように学生を選抜するのかにも工夫が求められます。
高専の各学科の定員はほとんどが40人となっており、それを上回る志願者があっても多くは50人~60人くらいです。
その中から、高専が入学者にふさわしいと考える人を選抜するには、単に中学校の成績が良いとか、入学試験の成績が良いとかいうことだけでは決められないのです。

そこで高専は、受験生に求める能力や適性をアドミッションポリシーとして定め、公表しています。
アドミッションポリシーに沿った形で合否判定を行い、入学者を選抜することとしているのです。
したがって、受験生にとってアドミッションポリシーの内容を知ることは受験の基準を知ることを意味し、とても重要なことなのです。
また、出願資格や選抜方法は学生募集要項に記載されているので、その内容は必ず確認しておく必要があります。

(事例)神山まるごと高専のアドミッションポリシー

特に注目を集める高専の1つとして、「神山まるごと高専」という学校があります。
2023年4月に第1期生を迎え入れたばかりの新しい高専ですが、入試ではかなりの高倍率となりました。

アドミッションポリシーとはどのようなものか分からないという方は、ぜひ神山まるごと高専のアドミッションポリシーを見てください。

入試情報 | 神山まるごと高専
志向性や個性も含めたマッチングを総合的に判断する入試を紹介します。

そこには、神山まるごと高専が入学者に求める5つの人物像が書かれています。

  • モノづくりに興味や関心がある人
  • 多様な価値観を受け入れ、自分の意見を伝えられる人
  • 情報を適切に処理する思考力がある人
  • 正解のない問いに対して、独自の解を出せる人
  • 必要な学習を続ける意欲があり、学んだことを活かせる人

非常識にシンプルに、学校として求める人物像が書かれています。
長々とした説明もなく、箇条書きで書かれている内容は、決して難しい文章ではありません。
この5つのことができる人が、神山まるごと高専の入学者にふさわしいと考えられており、実際にそのことが入学試験で問われます。

一方で、他の高専にありがちな「協働・共同」や「グローバルな視点」あるいは「課外活動」といった記載はありません。
起業家を育てるという学校の方針は、ここにも現れているといえます。

このように、アドミッションポリシーには、各学校が求める学生の姿が明確にされています。
その内容によって、どの高専に出願するのかを検討する材料としていきましょう。

偏差値やランキングには惑わされず自身の希望を叶えよう

高専の受験情報を調べていると、偏差値などのランキングが出てきます。
しかし、高専の入試においては、偏差値さえ満たしていれば合格できるというわけではありません
受験者層によっては、従来より高い偏差値が要求される年がありますし、その反対となる年もあります。
また、そもそも学力検査がどこまで重視されるかの違いもあるので、偏差値さえクリアしていれば合格できるというわけでもありません。

まずは、どのような理由で高専に進学したいのか、自身の気持ちがとても大事です。
そして、自身が高専に進学し、どのような人物になりたいのか、具体的な将来像を描いて行きましょう。
ただ、入学試験では学力検査も実施されるので、日ごろの準備は欠かせません。
学校の授業をおろそかにせず、常に準備しておきましょう。

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