「ギダイ」「ギカダイ」ってどんなところ?日本に2校だけある技術科学大学とは?

room chair lot 高専卒業後の進路
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高専は、中学校を卒業後に入学し、5年間の課程で専門的な学習や研究を行います。
高専を卒業する時期は、高校から大学にストレートに進学した人の場合、大学2年生を終えた時期と一致します。
高専を卒業してもまだ20歳であることから、様々な進路に進む可能性があります。
そのような進路の中で、高専から大学編入を目指す人の有力な進学先となっている「ギダイ」「ギカダイ」とはどのようなところなのか、ご紹介しましょう。

高専卒業後の進路は「大学編入学」「専攻科進学」「就職」の3つ

「ギダイ」「ギカダイ」について説明する前に、高専卒業後の進路について簡単に確認しておきます。
5年間の高専の課程を終えると、主に3種類の進路に進んでいきます。

  • 大学3年生(あるいは2年生)への編入学
  • 高専専攻科への進学
  • 就職

これらの進路に進む学生の割合は、高専によって違いがあります。
高専専攻科の定員は、高専の定員に対して少なく、入学試験はかなりの難関となります。
一方、就職を希望する学生に対して、高専に求人を出している企業の数ははるかに多く、就職を考えている学生にとっては選び放題という状況にあります。

大学編入という進路は、高専での学習の成果をいかし、3年生から大学に入学するものです。
ただ、大学によっては3年生からでなく2年生からの編入となることもあるため、この点は確認しておく必要があるでしょう。

大学編入を目指す場合は「ギダイ」「ギカダイ」が選択肢の1つ

大学編入を目指す高専の学生は多くいますが、ここで問題になるのが、どのような大学への編入を目指すのかということです。
大学の数は、国公立大学だけでも高専よりはるかに多くあります。
私立大学もあわせれば、その選択肢は無限といっていいほどの数となります。
ただ、高専からの編入を目指す場合、基本的には高専での専攻にあわせて学校や学部・学科を選ぶこととなるため、すべての大学が選択肢となるわけではありません。

そこで、自身の高専での専攻にあわせた大学を選ぶこととなります。
中には、具体的に○○大学に行きたいと考えている方もいるかもしれません。
しかし、その大学に高専での専攻に関連する学科がないため、進学先とならないケースも考えられるのです。
そのような中で、大学編入を目指す学生の有力な進学先となるのが「ギダイ」「ギカダイ」です。
「ギダイ」や「ギカダイ」とは、正式には技術科学大学と呼ばれる国立大学のことです。
その設立の経緯や、現状の学生の状況を見ても、高専との関係は非常に重要なものとなっていることが分かります。

技術科学大学が設立された歴史や経緯

技術科学大学と呼ばれる国立大学が設立されたのは、1976(昭和51)年のことです。
設立時から、「実践的、創造的な能力を備えた指導的技術者の養成」を目的としています。
そのため、定員の半数以上について、高専を卒業した学生を3年生として編入学で受け入れることを目指しています。

逆に、一般の高校を卒業した生徒が1年生から入学してくるケースは定員の一部にとどまっています。
そして、1年生から入学してくる学生には普通高校からの進学のほか、工業高校など普通科や理数科以外からの推薦入試による進学の枠が設けられています。
このような学生の選抜方法も、他の大学とは異なる考え方に基づいていることが分かります。

また、大学院が当初から設立されており、高専を卒業した後、大学3年生から大学院修士課程までの一貫教育が大きな特徴となっています。
実際、卒業生の多くは大学4年生の課程を終えた後、そのまま大学院に進学しており、大学院進学率はもともと高い国立大学理系の中でも、さらに高くなっています。

2つの技術科学大学について

2023年現在、日本国内には2つの技術科学大学が設置されています
1つは長岡技術科学大学、そしてもう1つは豊橋技術科学大学です。
いずれも1976年に設立されており、高専卒業生にとっては有力な進学先となっています。
それぞれの大学について、ご紹介していきます。

長岡技術科学大学

長岡技術科学大学は、1976年に設立された国立大学です。
長岡技術科学大学の基本情報は以下のとおりです。

正式名称長岡技術科学大学
ホームページhttps://www.nagaokaut.ac.jp/
本部所在地新潟県長岡市上富岡町1603-1
設置学部工学部
学部学生数1105人(「大学案内2024」より)
設置研究科(大学院)工学研究科、技術経営研究科
大学院学生数1050人(「大学案内2024」より)

また、入試に関してはかなり特徴的なので、詳しく解説していきます。

◯工学部1年生からの入学定員
 学校推薦型選抜募集人員 工業等に関する学科出身者 27人程度
             普通科・理数科等出身者  若干
             合計 30人
 一般選抜募集人員       50人
 合計             80人

◯工学部3年生からの入学定員
 推薦による募集人員     168人
 学力(一般)による募集人員 172人
 合計            340人

学部生の定員は、1・2年生は80人、3・4年生は420人となることが分かります。
3年生からの編入学がメインとなっているため、人数構成はかなりいびつな形になっています。
また、工業高校などの出身者について、必ず推薦入試で確保する枠が設けられています。
一般入試ではどうしても不利になりやすい中で、多様な学生を確保しようとする大学の姿勢が現れているといえるでしょう。

◯大学院の入学定員
 一般入試・学内推薦入試・学内学力入試による募集人員 411人
 その他社会人入試・外国人留学生入試・2回募集・高専専攻科修了見込者等 若干
 合計 419人

学部の1学年あたりの定員が420人なのに対し、大学院の1学年あたりの定員が419人となっています。
大学院で外部からの入学者を受け入れる枠があるとはいえ、ほぼすべての学部生が大学院に進学することが想定されていることが分かります。

豊橋技術科学大学

豊橋技術科学大学は、1976年に設立された国立大学です。
豊橋技術科学大学の基本情報は以下のとおりです。

正式名称豊橋技術科学大学
ホームページhttps://www.tut.ac.jp/
本部所在地愛知県豊橋市天伯町雲雀ヶ丘1-1
設置学部工学部
学部学生数1144人(ホームページより)
設置研究科(大学院)工学研究科
大学院学生数871人(ホームページより)

豊橋技術科学大学のホームページで興味深いのは、退学者数を公表していることです。
このデータでは、単純に退学した学生の数を載せるだけでなく、1年生から入学試験した学生か、3年生から編入学してきた学生かを区分しています。
近年は3年次編入学の学生の方が退学者が多くなっているようです。ただ、そもそも編入学の学生の方が多いので、一概にどのような傾向があるとはいえないでしょう。

豊橋技術科学大学の入試に関する情報は、以下のとおりです。

◯工学部1年生からの入学定員
 一般選抜    45人
 学校推薦型選抜 工業に関する学科等     15人
         普通科・理数に関する学科等 5人
 総合型選抜   5人
 私費外国人留学生選抜 10人
 合計      80人

◯工学部3年生からの入学定員
 推薦 179人
 学力 181人
 合計 360人

学部生の定員は、1・2年生が80人、3・4年生は440人となります。
長岡技術科学大学でもそうであったように、3年次での編入学が中心となっています。
工業高校などからの推薦入試も実施されているなど、他の国立大学とはかなり異なる入試制度になっています。

◯大学院の入学定員
 一般入試、社会人入試、外国人留学生入試、高専専攻科修了生推薦入試 395人

学部の1学年あたりの定員が440人に対し、大学院の定員は395人となっています。
やはり、大半の学生が大学院に進学することが前提になっているといえます。

高専進学を目指す人は高専卒業後の進路についてもイメージしておこう

高専に進学すると、5年で高専を卒業した後、どのような進路に進むか非常に悩むことでしょう。
今回ご紹介した長岡・豊橋の2つの技術科学大学は、高専を卒業した学生の有力な進学先となっています。
高専を卒業したらどのような道に進みたいのか、あらかじめイメージしておきましょう。
また編入学を目指す人は、入試に向けた勉強など、早い段階から準備を始めるようにしましょう。

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