全国の高専を知ろう　～鹿児島高専～

全国各地の高専を順番にご紹介しています。
今回は、鹿児島県にある鹿児島高専をご紹介します。

基本情報

学校名	鹿児島工業高等専門学校
所在地	鹿児島県霧島市隼人町真孝1460番1
設立年度	1963（昭和38）年4月1日
設置学科	機械工学科 電気電子工学科 電子制御工学科 情報工学科 都市環境デザイン工学科
本科定員	各学科40人 1学年あたり200人
設置専攻科	機械・電子システム工学専攻 電気情報システム工学専攻 建設工学専攻
専攻科定員	機械・電子システム工学専攻、電気情報システム工学専攻　各8人 建設工学専攻　4人 1学年あたり20人

沿革

鹿児島高専は、鹿児島県霧島市（当時は隼人町）に1963（昭和38）年4月に設置された、国立の工業高等専門学校です。
高専が初めて設置された1962（昭和37）年に九州には佐世保高専1校しかありませんでした。
鹿児島高専は、その翌年に設置されたことになります。

鹿児島高専には当初、機械工学科、電気工学科の2つの学科が設置されました。
その後、1967（昭和42）年には土木工学科が新設され、さらに1986（昭和61）年には情報工学科が設置されました。
1991（平成3）年には2クラスあった機械工学科のうち1クラスが電子制御工学科に改組され、現在につながる5学科体制となります。
2003（平成15）年に電気工学科を電気電子工学科に改称し、さらに2010（平成22）年には土木工学科を都市環境デザイン工学科に改称して、現在に至ります。

霧島市はどんなところ？

霧島市は鹿児島県のほぼ中央に位置しています。
霧島市は、鹿児島県の県庁所在地である鹿児島市に次いで、鹿児島県で2番目に人口の多い都市となっています。
2005（平成17）年に国分市、溝辺町、横川町、牧園町、霧島町、隼人町、福山町の1市6町が合併して、新たに誕生したのが霧島市です。
また、霧島市内には鹿児島空港があり、日本各地から鹿児島県をはじめとする南九州への玄関口となっています。

霧島市は鹿児島市と宮崎市や都城市を結ぶ中間点にあり、また鹿児島高専の最寄駅である隼人駅は、沿岸地域にある鹿児島市と内陸の宮崎県えびの市や熊本県人吉市を結ぶ鉄道の分岐駅にもなっています。
そのため、霧島市は古くから交通の要衝として発展してきた歴史があります。
隼人駅までは鹿児島中央駅から約40分、都城駅からは約50分ほどで到着します。
また宮崎県えびの市からも鉄道で70分程度であり、通学圏内となっています。

学生情報

学生数（男女別）

令和6年度学校要覧によれば、学生の人数や男女比は以下のようになっています。

	1年
	男子	女子	合計
機械工学科	41	1	42
電気電子工学科	34	8	42
電子制御工学科	32	9	41
情報工学科	30	12	42
都市環境デザイン工学科	24	18	42

	2年			3年
	男子	女子	合計	男子	女子	合計
機械工学科	44	1	45	46	3	49
電気電子工学科	37	7	44	39	4	43
電子制御工学科	35	8	43	35	9	44
情報工学科	30	9	39	32	10	42
都市環境デザイン工学科	29	14	43	17	20	37

	4年			5年
	男子	女子	合計	男子	女子	合計
機械工学科	31	5	36	39	2	41
電気電子工学科	36	3	39	35	5	40
電子制御工学科	42	2	44	40	3	43
情報工学科	34	6	40	37	8	45
都市環境デザイン工学科	26	16	42	21	18	39

いずれの学年も、30人～50人の女子学生が在籍しています。
ただ、学科によって女子学生の比率にはバラツキがあります。
最も女子比率の低い機械工学科では、女子学生の比率は10％も大きく割り込んでおり、学年に1人しかいないケースもあります。
一方、女子学生の比率が最も高い都市環境デザイン工学科では、女子学生の方が多い学年もあります。

学生寮の入寮者

	男子	女子	合計
1年	90	23	113
2年	93	12	105
3年	67	17	84
4年	62	16	78
5年	44	5	49
合計	356	73	429

鹿児島高専まで毎日電車で通うのは大変な学生が多いので、学生寮を利用する学生の数は多くなっています。
特に1年生や2年生の入寮者数は、いずれもその学年の学生の半分以上となっており、多くの学生が学生寮を利用しています。

入試情報

推薦入試と一般入試

推薦入試の募集人員は、定員の50%程度となっています。
推薦入試の出願基準として、「2年次及び3年次の絶対評価で表した9教科学習成績5段階評定の総計が74以上」と定められています。
平均すると、2年生と3年生でそれぞれ評定37以上が目標となるので、各科目で4以上としたうえで、1教科以上で5をとる必要があります。
なお、令和6年度入試までは中学3年間の調査書が対象となっていましたが、令和7年度入試から2年生と3年生の2年間の調査書を対象とするものと変更されました。

推薦入試の出願基準

2年次及び3年次の絶対評価で表した9教科学習成績5段階評定の総計が74以上

一般入試では、学力試験として理科・英語・数学・国語の4科目が実施されます。
また、学力検査のほかに集団面接が実施されます。
調査書については、2年生と3年生の9教科5段階評定の90点満点で点数に加算されます。

学力試験の科目と配点
理科	英語	数学	国語	社会
100	100	200	100	－

調査書の科目と配点
国語	社会	数学	理科	英語	技術・家庭	音楽	美術	保健体育
10	10	10	10	10	10	10	10	10

入学志願者数

令和4年度、令和5年度および令和6年度の第一志望の志願者と入学者は、以下のようになっています。

	第一志望の志願者	入学者
機械工学科	50	42
電気電子工学科	41	41
電子制御工学科	38	42
情報工学科	83	42
都市環境デザイン工学科	43	40

	第一志望の志願者	入学者
機械工学科	61	42
電気電子工学科	52	42
電子制御工学科	69	42
情報工学科	72	41
都市環境デザイン工学科	51	41

	第一志望の志願者	入学者
機械工学科	50	42
電気電子工学科	54	42
電子制御工学科	58	41
情報工学科	65	42
都市環境デザイン工学科	54	42

第一志望からの合格者が定員に満たない場合には、第二志望の志願者が合格することがあります。
近年は第一志望の志願者が定員を大きく上回っており、競争率が高くなっています。

卒業後の進路

一般的に、高専の卒業生の半数は就職、半数は進学するといわれますが、学校によってその比率には違いがあります。
鹿児島高専の場合、令和5年度卒業生の進路は以下のようになっています。

	卒業生	就職	進学	その他
機械工学科	35	23	11	1
電気電子工学科	40	24	16	0
電子制御工学科	40	24	16	0
情報工学科	41	25	15	1
都市環境デザイン工学科	39	27	12	0

学校全体としても学科ごとにみても、就職のほうが進学より人数が多い傾向となっています。

就職

高専には、毎年多くの企業から求人が寄せられています。
鹿児島高専の場合、令和5年度卒業生に対する求人数は以下のようになっています。

	就職希望者数	求人数
機械工学科	23	1,227
電気電子工学科	24	1,258
電子制御工学科	24	1,236
情報工学科	25	1,129
都市環境デザイン工学科	27	980

就職希望者に対する求人数は、各学科とも1,000人前後となっています。
実際に就職を希望する学生数に対して、50倍を超える倍率となっている学科もあり、希望に沿った就職先を選ぶことができる環境にあります。

進学

鹿児島高専を卒業後に進学する学生の進学先は、以下のようになっています。

	2020年3月 （令和元年度）	2021年3月 （令和2年度）	2022年3月 （令和3年度）	2023年3月 （令和4年度）	2024年3月 （令和5年度）
鹿児島高専専攻科	29	23	27	24	27
長岡技術科学大学	4	8	3	5	1
豊橋技術科学大学	1	5	2	9	7
鹿児島大学	9	9	8	10	9
九州工業大学	9	8	6	8	7
熊本大学	9	3	10	6	6
佐賀大学	4	0	2	2	6
九州大学	2	0	4	2	2
その他	7	3	8	13	6

最も進学者が多いのは鹿児島高専専攻科であり、次いで地元の鹿児島大学となっています。
また、九州工業大学や熊本大学、九州大学、佐賀大学など九州内の大学に多くの学生が進学しています。
もともと高専からの進学先は国公立大学が多いのですが、鹿児島高専の場合、さらにその傾向が強いといえます。