全国の国立の工業高専を各学校ごとに紹介しています。
今回ご紹介するのは、青森県にある八戸高専です。
基本情報
学校名 | 八戸工業高等専門学校 |
所在地 | 青森県八戸市大字田面木字上野平16番地1 |
ホームページ | https://www.hachinohe-ct.ac.jp/ |
設立年度 | 1963(昭和38)年4月1日 |
設置学科 | 産業システム工学科機械・医工学コース電気情報工学コースマテリアル・バイオ工学コース環境都市・建築デザインコース |
本科定員 | 1学年あたり160人 |
設置専攻科 | 産業システム工学専攻機械システムデザインコース電気情報システム工学コースマテリアル・バイオ工学コース環境都市・建築デザインコース |
専攻科定員 | 1学年あたり28人 |
沿革
八戸高専は、青森県八戸市に1963(昭和38)年4月に設置された、国立の工業高等専門学校です。
八戸高専は2期校にあたり、東北地方では1期校の福島高専に続いて設置されました。
なお、東北地方では宮城高専(現在の仙台高専)や鶴岡高専も2期校にあたります。
また八戸高専は、工学系の国立高等教育機関として、青森県に初めて設置された学校でもあります。
(弘前大学理工学部は1997年開設)
八戸高専の開校当初は機械工学科、電気工学科、工業化学科の3学科が設置されました。
その後、1968(昭和43)年には土木工学科が設置されました。
さらに1991(平成3)年には工業化学科が物質工学科に、1995(平成7)年には土木工学科が建設環境工学科に、2005(平成17)年に電気工学科が電気情報工学科に改組されました。
その後、2015(平成27)年に産業システム工学科の1学科・4コース制に変更され、現在に至っています。
八戸市はどんなところ?
八戸市は青森県に属しており、青森県は本州最北端の地です。
そのため、非常に寒くて雪深い風景が想像されますが、八戸市は太平洋側で雪は青森県の中ではそれほど多くなく、冬でも晴天の多い地域となっています。
一方で、夏は「やませ」と呼ばれる季節風の影響を受け、比較的涼しい気候の地域です。
八戸市の人口は、2024年4月現在で約21万人であり、青森県の中では青森市に次いで2番目に人口の多い市となっています。
歴史的な経緯から青森市などとは別の文化を持っており、生活圏も異なります。
また、八戸市は古くから水産業が盛んですが、近年は水揚げ量が低下傾向にあります。
八戸市は青森県の東部に位置しており、岩手県とも隣接しています。
青森県の県庁所在地である青森市の青森駅から八戸駅までは、在来線で1時間30分以上かかるため、電車での通学は現実的ではないかもしれません。
また青森県の中で八戸市の次に人口の多い弘前市の弘前駅から八戸駅までは、在来線で2時間30分以上かかります。
一方、隣接する岩手県の北部(二戸市など)からは、在来線でも40分程度で八戸駅まで到着できる場所にあります。
学生情報
学生数(男女別)
八戸高専学校要覧2024によれば、学生の人数や男女比は以下のようになっています。
1年 | |||
男子 | 女子 | 合計 | |
機械・医工学コース | 43 | 6 | 49 |
電気情報工学コース | 32 | 9 | 41 |
マテリアル・バイオ工学コース | 16 | 24 | 40 |
環境都市・建築デザインコース | 25 | 17 | 42 |
2年 | 3年 | |||||
男子 | 女子 | 合計 | 男子 | 女子 | 合計 | |
機械・医工学コース | 37 | 6 | 43 | 34 | 6 | 40 |
電気情報工学コース | 40 | 5 | 45 | 35 | 5 | 40 |
マテリアル・バイオ工学コース | 21 | 16 | 37 | 18 | 24 | 42 |
環境都市・建築デザインコース | 24 | 12 | 36 | 28 | 16 | 44 |
4年 | 5年 | |||||
男子 | 女子 | 合計 | 男子 | 女子 | 合計 | |
機械・医工学コース | 33 | 5 | 38 | 33 | 6 | 39 |
電気情報工学コース | 36 | 3 | 39 | 36 | 8 | 44 |
マテリアル・バイオ工学コース | 24 | 22 | 46 | 18 | 16 | 34 |
環境都市・建築デザインコース | 30 | 8 | 38 | 28 | 13 | 41 |
男女比はコースや学年によってバラつきがあります。
特に、どの学年もマテリアル・バイオ工学コースの女子の比率が一番高く、中には女子の学生の方が多い学年もあります。
学生出身地
八戸高専学校要覧2024によれば、各学年の学生の出身地は以下のようになっています。
1年 | 2年 | 3年 | 4年 | 5年 | |
---|---|---|---|---|---|
八戸市 | 74 | 83 | 70 | 72 | 69 |
青森市 | 14 | 14 | 14 | 17 | 5 |
弘前市 | 2 | 2 | 6 | 4 | 3 |
十和田市 | 6 | 5 | 8 | 12 | 12 |
三沢市 | 11 | 5 | 3 | 11 | 9 |
上北郡 | 30 | 21 | 21 | 15 | 24 |
三戸郡 | 8 | 9 | 9 | 12 | 16 |
その他青森県 | 14 | 8 | 20 | 8 | 8 |
岩手県 | 9 | 5 | 7 | 5 | 9 |
その他の道府県民 | 4 | 5 | 0 | 0 | 0 |
海外留学生 | 0 | 4 | 8 | 5 | 3 |
高専には他県出身の学生も在籍しているのが普通ですが、八戸高専の学生の中で他県出身者は10%未満であり、やや少ない印象です。
一方、八戸市出身の学生が40%以上を占めているほか、八戸市に隣接する上北郡や三戸郡出身の学生も多く、地域密着といった雰囲気を持っています。
自宅から通学できる地域がかなり限られるため、地元出身の学生の割合が大きくなると考えられます。
学生寮の入寮者
男子 | 女子 | 合計 | |
---|---|---|---|
1年 | 43 | 19 | 62 |
2年 | 48 | 10 | 58 |
3年 | 51 | 22 | 73 |
4年 | 43 | 13 | 56 |
5年 | 41 | 16 | 57 |
合計 | 226 | 80 | 306 |
八戸高専の学生寮である北辰寮は、約450人まで収容可能となっています。
2024(令和6)年4月2日時点では、300人以上が入寮しており、共同生活をおくっています。
4年生、5年生になっても入寮者数が大きく減っていない点が特徴の1つとなっています。
入試情報
推薦入試と一般入試
推薦入試の募集人員は、定員の60%程度となっています。
前年度においては、推薦入試の出願基準として「5段階評定の3年間の総計が108以上」とする基準が定められていました。
2025(令和7)年4月入学の推薦入試については、まだ詳細は不明ですが、同じような基準が設けられると予想されます。
内申点の満点45のうち、平均して36以上(つまりオール4以上)が最低限必要とされます。
推薦入試を突破する確率をより上げるには、さらに内申点の上積みが必要となります。
推薦入試の出願基準 | 5段階評定の3年間の総計が108以上 |
一般入試では、数学・理科が200点、英語が150点、国語・社会が100点の配点となっています。
科目ごとの傾斜が設けられており、特に数学と理科の配点が高いので、苦手な人は早めの対策が必要です。
また調査書の配点は合計・科目ごといずれも公表されていないので、どの科目もまんべんなく得点するのが理想です。
学力試験の科目と配点 | ||||
理科 | 英語 | 数学 | 国語 | 社会 |
200 | 150 | 200 | 100 | 100 |
調査書の科目と配点 | ||||||||
国語 | 社会 | 数学 | 理科 | 英語 | 技術・家庭 | 音楽 | 美術 | 保健体育 |
非公表 |
入学志願者数
八戸高専は4つのコースごとに入学志願者を募集し、入学定員は各コース40人とされています。
ここ5年間の入学志願者数は、以下のように推移しています。
2020(令和2)年度 | 2021(令和3)年度 | 2022(令和4)年度 | 2023(令和5)年度 | 2024(令和6)年度 | |
機械・医工学コース | 55 | 55 | 59 | 48 | 63 |
電気情報工学コース | 85 | 94 | 82 | 81 | 67 |
マテリアル・バイオ工学コース | 90 | 85 | 66 | 54 | 81 |
環境都市・建築デザインコース | 71 | 63 | 65 | 52 | 40 |
5年間の志願者数をみると、電気情報工学コースとマテリアル・バイオ工学コースの志願者数がほかのコースより多くなっています。
電気情報工学コースは情報系学科の人気が背景にあるといえるでしょう。
またマテリアル・バイオ工学コースは女子の比率が高く、志願者数にも影響していると思われます。
卒業後の進路
一般的に、高専の卒業生の半数は就職、半数は進学するといわれますが、学校によってその比率には違いがあります。
八戸高専の場合、令和5年度の卒業生の進路は以下のようになっています。
就職 | 進学 | その他 | 合計 | |
機械・医工学コース | 27 | 15 | 1 | 43 |
電気情報工学コース | 17 | 23 | 2 | 42 |
マテリアル・バイオ工学コース | 17 | 23 | 2 | 42 |
環境都市・建築デザインコース | 25 | 13 | 2 | 40 |
学校全体でみると、就職の方が若干多くなっています。
コースごとにみると、電気情報工学コースとマテリアル・バイオ工学コースは進学者が多く、機械・医工学コースと環境都市・建築デザインコースは就職者が多い結果となりました。
なお、就職希望者は全員が就職しており、就職率は100%となっています。
就職
高専には、毎年多くの企業から求人が寄せられています。
八戸高専の令和5年度卒業生に対する求人数は、以下のとおりです。
就職希望者数 | 求人数 | 求人倍率 | |
機械・医工学コース | 27 | 768 | 28.4 |
電気情報工学コース | 17 | 793 | 46.6 |
マテリアル・バイオ工学コース | 17 | 543 | 31.9 |
環境都市・建築デザインコース | 25 | 602 | 24.1 |
いずれのコースも20倍を超える求人が寄せられており、数多くの求人の中から自分の理想とする就職先を選べます。
青森県や東北地方の企業に就職するケースは少数で、大半は関東地方の企業に就職していることからも分かるように、高専の卒業生は多くの企業から求められる人材となっています。
進学
八戸高専のここ5年間の卒業生の進学先は、以下のようになっています。
学科 | 進学先 |
2020(令和2)年度 | 長岡技術科学大学 豊橋技術科学大学 北海道大学 室蘭工業大学 北見工業大学 岩手大学 宇都宮大学 群馬大学 埼玉大学 東京農工大学 東京工業大学 岐阜大学 姫路獨協大学 八戸高専専攻科 |
2021(令和3)年度 | 長岡技術科学大学 豊橋技術科学大学 室蘭工業大学 弘前大学 岩手大学 秋田大学 山形大学 宇都宮大学 東京農工大学 山梨大学 信州大学 金沢大学 三重大学 大阪大学 八戸工業大学 大阪芸術大学 姫路獨協大学 八戸高専専攻科 函館高専専攻科 |
2022(令和4)年度 | 長岡技術科学大学 豊橋技術科学大学 北海道大学 室蘭工業大学 岩手大学 東北大学 秋田大学 茨城大学 筑波大学 宇都宮大学 群馬大学 埼玉大学 千葉大学 お茶の水女子大学 電気通信大学 横浜国立大学 信州大学 金沢大学 名古屋大学 岡山大学 広島大学 岩手県立大学 秋田公立美術大学 滋賀県立大学 八戸高専専攻科 函館高専専攻科 |
2023(令和5)年度 | 長岡技術科学大学 豊橋技術科学大学 北海道大学 室蘭工業大学 弘前大学 岩手大学 東北大学 秋田大学 山形大学 筑波大学 宇都宮大学 埼玉大学 東京工業大学 横浜国立大学 新潟大学 信州大学 岡山大学 広島大学 高知大学 工学院大学 姫路獨協大学 サイバー大学 八戸高専専攻科 函館高専専攻科 |
2024(令和6)年度 | 長岡技術科学大学 豊橋技術科学大学 北海道大学 室蘭工業大学 帯広畜産大学 岩手大学 東北大学 筑波大学 宇都宮大学 東京農工大学 東京工業大学 横浜国立大学 新潟大学 山梨大学 信州大学 金沢大学 静岡大学 三重大学 広島大学 東京都立大学 日本大学 姫路獨協大学 八戸高専専攻科 |
直近3年は毎年、長岡技術科学大学・豊橋技術科学大学にあわせて20人弱が進学しています。
また八戸高専専攻科にも、毎年20人程度が進学しています。
このほかの進学先については、大半が国公立大学となっています。
ただ、地元の弘前大学などに進む人はほとんどいません。
一方、隣接する岩手大学には毎年3人以上が進学しており、八戸高専の卒業生の有力な進学先の1つとなっています。
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