2023年に約20年ぶりに新たな高専として徳島県に開校した神山まるごと高専。
第一期生の入試は非常に高い倍率となり、大きな注目を集めました。
学校の取り組みはメディアなどでも取り上げられ、ますます注目度が高まっています。
また、既存の学校とは異なる取り組みは、中学生の進路を考えるうえで新たな選択肢となりつつあります。
ただし、神山まるごと高専の取り組みはほかの学校とは大きく違い、その学生像にあった学生だけが入学を許されることとなります。
神山まるごと高専の二期生の募集にあたって、どのような学生が求められているのか、そしてその試験はどのように行われるのか、確認していきましょう。
入試要項2024が公表された
神山まるごと高専の入試要項が、2023年9月17日に学校のホームページで公表されました。
詳細を確認する前に、まずは以下のリンクからその概要を確認してください。
学校の「入試情報」のページでは、2024年に入学する学生に関する情報が概要として公表されています。
神山まるごと高専の入試はかなり独自の制度となっているため、その内容をしっかり把握しておく必要があります。
神山まるごと高専の求める学生像(アドミッションポリシー)
入試要項には、最初にアドミッションポリシーが記載されています。
神山まるごと高専が公表したアドミッションポリシーには、受け入れる学生像について、以下の5つをあげています。
- モノづくりに興味や関心がある人
- 多様な価値観を受け入れ、自分の意見を伝えられる人
- 情報を適切に処理する思考力がある人
- 正解のない問いに対して、独自の解を出せる人
- 必要な学習を続ける意欲があり、学んだことを活かせる人
この内容は、ほかの高専などと比べても、かなり独自のものとなっているといえるでしょう。
それは、神山まるごと高専が「モノをつくる力で、コトを起こす人」を育てることを重視しているためです。
特に「コトを起こす」という部分は、これまで他の学校では見られなかったような表現になっています。
将来的に起業する意欲のある学生を多く受け入れたいという神山まるごと高専の考え方が、このアドミッションポリシーに表れているといえます。
大企業に就職をしたいとか、より良い大学に進学したいということに主眼を置いている学生は、神山まるごと高専の考え方には合わないことから、仮に学力試験でいい結果が出たとしても、合格にはならない可能性が高いでしょう。
神山まるごと高専もホームページの中で、入試ではマッチングを重視しているといっており、学校の理想とする考え方と考え方の合う学生が選抜されることとなります。
2024年度入試の概要
神山まるごと高専は、2024年度入試が2回目の入試となります。
一期生を選抜した2023年度入試とは、その選抜方法を変えて入試が行われることとなるので、注意が必要です。
マッチング重視
昨年度の入試でも強調されていましたが、神山まるごと高専の入試はとにかくマッチングが重視されます。
神山まるごと高専が求める学生像は明確になっており、その学生像に会わなければ、たとえ学業成績が優秀でも入学することはできません。
神山まるごと高専がマッチングを判断する方法として、以下の8つの項目をあげています。
- 調査書
- 推薦書
- 課題レポート
- 学習プロセス
- 学力試験(国語・数学)
- 適性検査
- ワークショップ
- 面接
ほかの多くの高専や高校の入試では、調査書、学力試験、面接が判断材料になりますが、神山まるごと高専ではより多くの判断材料を使って、学校と学生のマッチングをはかることとなります。
3つの方式で入試が実施される
神山まるごと高専の2024年度入試の最大のポイントは、A方式、B方式、C方式の3つの方式で学生を選抜することです。
3つの異なる方法で入試を実施することで、より幅広く学生を受け入れようとする考え方が見てとれます。
それぞれの方式ではどのような試験が行われるのか、その内容を確認していきましょう。
・A方式
A方式の特徴は、すべての評価項目の総合点で、学校と入学希望者のマッチ度をはかることです。
突出して得意な分野がなくても、全体的な得点が上位に入れば入学が認められることとなります。
具体的な試験の内容については、後ほどご紹介します。
・B方式
B方式の特徴は、各項目の評価の中で秀でた部分を突出点とし、学校とのマッチ度をはかることです。
多少苦手な分野があったとしても、それを補って余りある得意分野がある学生が合格する可能性があります。
・C方式
C方式は、A方式とB方式のいずれかの一次試験に合格した生徒だけが受験できます。
再度試験を行うことで、当初A方式・B方式を受験した時と比較してどれだけ能力が伸びたのか、その学習力をはかることが目的です。
A方式
ここからは、それぞれどのような内容の試験が実施されるのか、またその試験の時期や定員など具体的な決定事項についてご紹介していきます。
まずは、A方式として実施される試験についてご紹介します。
A方式の試験の詳細は、以下のようになっています。
募集人員 | 約28名 |
検定料 | 25,000円(B方式と併願時は40,000円) |
出願時期 | 11/1(水)10時~11/10(金)19時 |
一次試験日程(オンラインで実施) | 11/18(土) |
一次試験合格発表 | 11/24(金) |
二次試験日程 | 12/2(土) |
二次試験合格発表 | 12/7(木) |
出願する書類は、課題レポートとしての動画課題と自由表現課題、そして調査書となっています。
また、一次試験では数学と国語の学力試験が行われますが、こちらはオンラインでの試験となります。
二次試験はワークショップと面接が実施され、B方式と同様の内容となっています。
B方式
B方式の試験の詳細は、以下のようになっています。
募集人員 | 約12名 |
検定料 | 25,000円(A方式と併願時は40,000円) |
出願時期 | 11/1(水)10時~11/10(金)19時 |
一次試験合格発表 | 11/24(金) |
二次試験日程 | 12/2(土) |
二次試験合格発表 | 12/7(木) |
B方式は、A方式とは違い学力試験は実施されません。
イメージ的には、ほかの入試で実施される推薦入試に近いといえそうです。
出願する書類は、課題レポートとしての動画課題と小論文課題、調査書、推薦書となっています。
このうち、動画課題と調査書はAB方式において共通です。
C方式
C方式の試験の詳細は、以下のようになっています。
募集人員 | 若干名 |
検定料 | 25,000円 |
出願時期 | 12/7(木)10時~12/21(木)19時 |
一次試験日程 | 1/13(土) |
一次試験合格発表 | 1/16(火) |
C方式では、個別課題が課されます。
それぞれ個別に、学力試験、動画課題、小論文課題のいずれか1つが指定されることとなっており、それぞれのAB方式を受験した時からの成長度合いがはかられるものと考えられます。
試験方式にあわせた準備が大切
神山まるごと高専の入試方式は、全部で3つあることが分かりました。
実際には、A方式とB方式のいずれかあるいは両方の試験を受けることとなるので、その準備を始める必要があります。
出願時に提出する課題レポートのうち動画課題は、ABの両方式で共通です。
過去3年間におけるモノづくりの歴史を、90秒動画で自己PRするという内容になっています。
また、A方式では課題レポートとして自由表現課題を行います。
自身が住む地域の魅力を発見し、その魅力をテクノロジーを活用してさらに向上するアイデアを、A4用紙4枚で表現します。
一方、B方式では課題レポートとして小論文を作成します。
1.必要な学習を特定する力、2.学習を継続する力、3.学習を次の学習につなげる力の3つを兼ね備えた学習力が入学後に不可欠であるが、本校受験の決意日から現在までの学習の取り組みを振り返り、1~3の観点に対してそれぞれ具体的な根拠を挙げながら、あなたの学習力を適切に自己評価してください、という内容になっています。
これらの課題は、いくら調べても正解があるものではありません。
自身の考えをいかに表現できるか、そして求められた内容に的確に回答できるかが問われるものとなっています。
もちろん、神山まるごと高専に入学して何をしたいのかという情熱も重要ですが、それ以上に自己PRや自身について、あるいは地域についての分析が大きなポイントとなるでしょう。
試験の日程に注意
神山まるごと高専に入りたいと考えている人は、もう1つ注意しなければならないことがあります。
それは、試験の日程が、他の高専の入試や高校の入試に比べると、かなり早いことです。
通常の高校入試に向けて、中学校で様々な手続きが始まるのは、12月~翌年1月頃というケースが多いのですが、神山まるごと高専の出願時期は11月となっており、他の学校に比べるとかなり早くなっています。
そのため、神山まるごと高専に入学したいという意思を、自分で中学校の先生に伝えなければなりません。
この時期に、中学校の先生から具体的な入試の手続きについて聞かれることはあまりないので、自分で出願時期に合わせた準備を行う必要があります。
このあたりも、神山まるごと高専に入学しようとする生徒の自主性が問われているといえるでしょう。
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