国立高専の入試がどのように行われるのか、その概要を確認しよう

高専の入試

高専の入試を受ける人の多くは、公立中学の出身です。
そのため、高専の入試が人生初めての入試という人もかなりいるでしょう。
高専の入試は、各都道府県で行われる高校入試とは別に実施されますが、全体で見ると受験者が少なく、中学校では詳しい説明がされないことも考えられます。
そこで、国立高専の入試はどのように行われるのか、またどのような点に注意すべきか、解説していきます。

国立高専の入学者選抜の方法

国立高専の入学試験は、高校入試などと同じく、推薦入試と一般入試の2種類の試験によって行われます。
基本的には推薦入試、一般入試としてイメージされるとおりの試験となっていますが、高校入試と比較した場合、異なる点もあるので確認しておきましょう。

推薦による選抜

高校入試と同じように、高専の入試でも推薦による選抜が行われます。
推薦入試では、中学校で作成された調査書と面接、作文などで合否が判定されます。
また学校によっては、数学などの試験が実施されることもあり、まったく試験が行われないとは限らない点に注意が必要です。

推薦入試の出願基準やおおよその定員などは、すべて学校ごとに定められます。
そのため、推薦入試に出願しようとする場合は、前もってその条件を確認しておく必要があります。

出願基準

推薦入試に出願できる人の条件は、各学校ごとに細かく定められています。
特に内申点の基準については、中学1年生から3年間の内申点を使う学校もあれば、中学3年生だけの内申点を使う学校もあります。
また、中学1年生より中学3年生の内申点の配点を高くしたり、数学や理科の配点を高くしたりする学校もあり、その基準はさまざまです。

内申点の基準は、出願できる人の最低ラインとなっており、実際にはその基準より高い人が多く出願しています。
そのため、出願基準は目標であると同時に、必ずクリアしなければならない数字と理解しておきましょう。
なお、内申点以外に部活の成績や生徒会での活動、ボランティアなどの実績も出願基準や合否判定に用いられるのは、高校入試における推薦選抜とおおむね同様といえるでしょう。

定員

高専の入試で推薦選抜により合格となる人の割合は、おおむね公立高校より多く私立高校より低い程度といえます。
ただ、総定員に占める推薦による合格者の割合は、学校によって大きく異なります。

最も推薦による合格者の割合が高いのは高知高専で、令和6年度入試の実績では80%程度となっていました。
このほか、福井高専が70%程度、秋田高専が62%程度となっているほか、多くの学校が50%〜60%程度となっています。

一方で、久留米高専は20%程度、大分高専は25%程度、豊田高専は30%程度など、公立高校の入試における割合と遜色のない程度の学校もあります。
推薦入試によりどれだけの合格が出るのかは、その後の学力検査による選抜の合格者数にも直結するため、あらかじめ募集要項などで確認しておく必要があります。

学力検査による選抜

いわゆる一般入試のことで、学科試験と調査書の内容によって合否が判定されます。
学科試験は、すべての学校で高専機構が作成する試験問題が使われます。

ただ、合否判定の際の配点は、学校によって異なります。
特定の教科(数学、理科、英語など)の配点を高くしていることがあるので要チェックです。
また、学科試験の点数と調査書(内申点)の配点バランスも学校により異なるため、確認が必要となります。

学科試験

先ほども説明したとおり、学力検査の試験問題は高専機構が作成した問題が使われます。
学科試験はすべての学校で統一した日時に行われ、令和6年度入試では下記のような形で行われました。

期日教科時間
令和6年2月11日理科9時30分~10時20分
英語10時40分~11時30分
数学11時50分~12時40分
国語13時30分~14時20分
社会14時40分~15時30分
令和6年度入試 学力検査実施日程

なお学校によっては、学力検査を5教科ではなく、社会を除いた4教科で実施するところがあります。

調査書

調査書(内申点)の計算方法は、学校により大きな違いがあります。
中学1年生からのすべての内申点を用いる学校もあれば、3年生の内申点だけを用いる学校もあります。
また、科目ごとに傾斜配点を行う学校もあるため、注意が必要です。

面接

ごく少数ですが、学科試験の後に面接を行う学校があります。
面接の結果も総合的に、合否の判定に用いることとされているため、いくらか練習をしておくといいでしょう。

入学試験の実施時期

高専の入学試験は、「推薦による選抜」と「学力検査による選抜」が1ヶ月程度の期間を空けて実施されます。

推薦による選抜

推薦による選抜は、令和6年度入試の場合、令和6年1月13日や1月20日などの土曜日に実施される学校が多くありました。
ただ中には、令和5年12月25日など年内に実施された学校や、1月14日など日曜日に実施された学校もあります。
推薦入試の日程は、学校が自由に決めることができるので、自身の志望校の日程がどうなっているのか、必ず確認しましょう。

学力検査による選抜

学力検査による選抜は、令和6年度入試の場合、令和6年2月11日(日)に実施されました。
学力検査は必ず、すべての学校で統一した日程で実施されます。
これは、すべての学校で共通の試験問題が用いられることに加え、受験地を受験者が自由に選べるためです。

入学試験の実施場所

学力検査による選抜の試験については、必ずしも出願した高専で試験を受けなければならないわけではありません。
「最寄り地等受験制度」という制度が設けられており、出願する高専に関係なく、全国の高専や設置会場のどこでも受験が可能です。
遠方の高専を自宅近くの受験地で受験できるので、負担を軽減することができます。

令和6年度入試における試験会場の一覧は、下記のようになっていました。

入学者の選抜方法

複数の学科を設置している高専でも、推薦による選抜については、第一志望のみを決めて出願する学校がほとんどです。
これに対して学力検査による選抜では、第二志望以下の志望学科を決めて出願することができます。
そのため、学力検査による選抜の結果によっては、第一志望ではない学科に合格することもあります。
一度その学科に入学すると、他の学科に変更することは容易ではないため、出願時には慎重に決定しなければなりません。

なお、高専を受験する人の中には、推薦入試を受験してダメだった場合でも、引き続きその高専の一般入試を受験しようと考えている方が多くいます。
そこで、推薦入試を受験して受からなかった場合には、そのまま一般入試の出願手続きをしなくても受験できるようになっています。

合格者は各学校の専用ホームページで公表されるほか、受験者本人と中学校に対して通知文書が送付されてきます。

合格者に対する説明会

推薦による選抜、学力検査による選抜のいずれで合格したのかに関係なく、合格者は学校が定める入学説明会に参加しなければなりません。
入学説明会は一度に行われ、受験者本人や保護者はやむを得ない事情がある場合を除き、必ず参加しなければならないとされています。

注意点①合格最低点がある学校

合否判定をする際、基本的には学校が定める配点の総合点が用いられます。
しかし学校によっては、総合点が良くても科目の点数が極端に低い場合、不合格になる可能性があることを公表している学校があります。

一関高専

学力検査の各科目の得点が本校の定める基準に達しない場合、不合格となることがあるとしています。

福島高専

学力検査の得点で、著しく低い科目がある場合は選抜しないことがあるとしています。

岐阜高専

ある教科について、本校の全学力選抜受験者の平均点の50%に満たない場合、不合格になるとしてます。

呉高専

学力検査の各教科のいずれかの得点が、その教科の学力検査の平均点の60%に満たない場合、原則として不合格になるとしています。

大分高専

学力検査の数学の点数が全受験者の平均点の60%に満たない者は不合格になるとしています。

注意点②内申点が関係ない学校がある?

ごく少数のみですが、特定の条件を満たす場合、学力検査の結果だけで選抜される学校があります。

豊田高専

第一志望学科内で学力検査の上位4名は、調査書なしで合格になるとしてます。
内申点はそれほどでもないが、学力検査には絶対の自信を持つ方にとっては、狙い目となります。
ただし、調査書なしで合格になるのは各学科4名だけなので、調査書を含めた配点の基準は必ず確認しておきましょう。

【まとめ】高専の受験の情報は受験者やその家族が自分で収集しよう

高専の受験者は少なく、実際に誰も受験しない中学校も多いので、中学校でも高専の試験日程についてあらかじめ知らされない可能性もあります。
しかし高専の入試は、高校入試より早い時期に始まるケースが多くなっています。
特に推薦による選抜については、早い学校では12月中に試験が実施されるため、かなり早い段階から準備が必要です。
中学校からの情報だけに頼ることなく、自分で情報を収集し、必要な資料を取り寄せるなどの作業を進めておきましょう。



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