※神山まるごと高専の2024年度入試に関する情報はコチラ
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高専の変遷でご紹介したように、2004年に沖縄高専が設置されてから20年近く、新たな高専の設置はありませんでした。
2009年には国立高専の統廃合が行われ、一部の高専が集約された結果、高専は4校減少しました。
今後は学生の人口減少も見込まれ、大学進学志向の高まりもあることから、高専の新設はもうないものかと思われていました。
しかし、2023年の春に開校を目指して、新たな高専が誕生しようとしています。
この高専の名は「神山まるごと高専」。
はたして、神山まるごと高専とはどのような学校なのでしょうか。
神山まるごと高専はどこにある?
神山まるごと高専が設置されるのは、徳島県名西郡神山町です。
東京や大阪といった都市部ではなく、徳島という地方に高専が設置されるのはどうしてなのかと思われる方もいるでしょう。
田舎に学校を新しく設置しても、学生を集めるのが大変なのではと考えるのが普通です。
しかし、この神山町はかつて「地方創生の聖地」と呼ばれ、全国から多くのIT企業がサテライトオフィスを設置しています。
IT企業の進出を促した要因としてあげられるのが、早い段階から町をあげて高速インターネット回線を充実させたことです。
このことが、多くのIT企業の進出を促し、そういった企業が成長することで、さらに新しい企業の進出を促すという循環が生まれたのです。
2022年現在、神山町は人口5,000人にも満たない、高齢化の進んだ小さな町です。
しかし、多くの企業が進出した結果、若者を中心に多くの人がこの町に移住してくる状況となりました。
さらに、コロナ禍の影響でリモートワークが広く実施されるようになり、田舎に住んで仕事をすることがより身近な選択肢となっています。
さらに、山に囲まれ川が流れる、自然の魅力の詰まった環境は、仕事をするにも勉強するにももってこいの場所と言えます。
自然あふれる環境の中で、この地で事業を行い、あるいはこの地で起業して成功した経営者の支援も受けて、新たにIT関連の勉強を行う学校として設置されるのが神山まるごと高専なのです。
神山まるごと高専の概要
まずは神山まるごと高専のホームページをご覧ください。
他の高専とは大きく異なる、ホームページの作りも注目です。
また、情報が十分ではない新設される学校について知るには、このホームページを隅から隅まで確認することが大切です。
このホームページから分かることをまとめておきます。
- 名称 神山まるごと高等専門学校
- 設置学科 デザイン・エンジニアリング学科
- 定員 40名(全寮制)
- 開校予定地 神山中学校
この学校で何を学ぶのか、その中心として紹介されているのは「テクノロジーとデザイン」そして「アントレプレナーシップ」です。
これまで多くの高専では、仕事をするうえで必要となる技術や知識を教えてきました。
大学と高専の区分をするうえでも、高専は研究機関ではなく、いわば技術者養成機関であるとされていたのです。
神山まるごと高専も、研究機関ではありません。
ただし、神山まるごと高専はこれまでのような技術者養成というより、起業家養成という側面がより強い学校となっています。
だからこそ、「アントレプレナーシップ」(起業家精神)が教育の中心として掲げられているのです。
多くの高専に情報系の学科が設置され、IT関連の学習をすることができる環境となっています。
ただ、その多くはIT技術に関する分野のカリキュラムとなっています。
神山まるごと高専では、これに加えてデザインに関する教育にも力を入れていくようです。
デザインは起業してサイトを構築したり、商品やサービスを作り上げるうえで、必要不可欠な要素となります。
情報技術とデザインを一緒に学べるというのは、起業を目指す学生にとって大きなメリットとなります。
神山まるごと高専に入りたい‼
神山まるごと高専の定員は40名となっています。
このうち、推薦入試により30%にあたる12人、一般入試(学力検査)により残りの70%にあたる28人を選抜する予定となっています。
入試で重視されるのは学力の高さより、この学校にマッチングしているかどうかです。
そのため、調査書や学力試験といった従来の試験内容に加えて、小論文や課題レポート、ワークショップが実施される予定になっています。
これらの試験内容は、推薦入試だけでなく一般入試でも実施されることとされているため、単に学力を上げればいい、偏差値が高ければいいというものではないと言えます。
このほか、推薦入試・一般入試とも一次試験と二次試験が行われること、そして一次試験はオンライン受験となることが大きな特徴です。
推薦入試の概要
推薦入試は定員約12名として行われます。
推薦入試の流れは以下のようになっています。
2022年10月1日 課題レポート内容発表
推薦入試の課題レポートは全部で3つとなっています。
ここではその概要だけ掲載しますが、詳しくは学校ホームページからご確認下さい。
1.あなたが「神山まるごと高専の5年間でつくりたいモノ」をプロトタイプで作成し、その機能と価値を90秒動画で紹介してください。
※動画は一発撮りで、編集はできないとされています。
2.あなたが1.で紹介した「つくりたいモノ」を実現できた先で「起こしたいコト」はどのようなコトか?
※800字以内
「つくりたいモノ」と関連づけて教えてください。
3. 徳島県神山町に一つ商店をつくるなら、どのような商店をつくりますか?
また、その商店は地域の発展にどう貢献しますか?
A4用紙片面1枚で表現してください。
2022年11月1日~10日 出願
1次試験は、調査書・推薦書・課題レポートの3つの書類審査で行われます。
なお、推薦書は本人や家族以外であれば、学校関係者に限らず誰から推薦をもらってもいいとされています。
2022年11月25日10時 1次試験合格発表
合格発表はホームページで行われます。
2022年12月3日 2次試験
2次試験は徳島大学で実施され、ワークショップと面接が行われます。
どちらもグループで行われるものとされている点が特徴的です。
2021年12月8日 合格発表
もし推薦入試に不合格となっても、一般入試に出願することができます。
一般入試の概要
一般入試は定員約28名として行われます。
一般入試の流れは以下のようになっています。
2022年10月1日 課題レポート内容発表
一般入試の課題レポートは全部で2つとなっています。
その内容は、推薦入試の課題レポートの1.及び2.と同じです。
1.あなたが「神山まるごと高専の5年間でつくりたいモノ」をプロトタイプで作成し、その機能と価値を90秒動画で紹介してください。
※動画は一発撮りで、編集はできないとされています。
2.あなたが1.で紹介した「つくりたいモノ」を実現できた先で「起こしたいコト」はどのようなコトか?
※800字以内
「つくりたいモノ」と関連づけて教えてください。
2022年12月1日~15日 出願
推薦入試の1次試験通過者は、調査書と課題レポートの提出は免除されますが、出願サイトからエントリーする必要があります。
2022年1月9日 1次試験
1次試験は調査書・課題レポートと学力検査(数学・国語)、小論文で行われます。
1次試験の学力検査や小論文の試験も、オンライン試験として実施されます。
そのため、インカメラのついたパソコンを準備する必要があります。
2022年1月28日 2次試験
2次試験は神山町農村環境改善センターで実施されます。
ワークショップとグループ面接が行われます。
2022年2月2日 合格発表
他の高専と比べて試験の実施時期が早いこと、そして試験の内容がかなり異なることに注意しましょう。
推薦・一般とも、一次試験は徳島に行く必要はありません。
ただ、二次試験は徳島で実施されます。
推薦入試の場合は徳島市内にある徳島大学が会場となりますが、一般入試の場合は神山町で行われます。
この場合、試験に間に合うようにどのように動くのか、公共交通機関がない神山町まで車で行くことになるはずなので誰が同行者となるのか、計画しておかなければならないでしょう。
神山まるごと高専の学費
新しく設置される神山まるごと高専は、国立・公立・私立の区分でいうと、私立の高専にあたります。
私立の高専は、どうしても国公立高専より学費が高くなるのですが、神山まるごと高専ではかなり特徴的な取り組みが実施されます。
それは、ほかの高専にはない「パートナー」と呼ばれる存在です。
神山まるごと高専の設立の趣旨に賛同する企業が「パートナー」となり、高専に寄付金を提供します。
そして、パートナーからの寄付金により、学生の学費が負担されるのです。
神山まるごと高専のホームページによれば、1期生40名については学費の実質無償化を達成する見込みとのことであり、今後も順次この寄付金の枠が拡大していくと期待されるのです。
返済義務のある奨学金制度は、実質的には借金と同じであり、経済的な問題を先送りするだけでなく、さらに大きな問題となることもあります。
給付型の奨学金制度が学校から提供されるのであれば、非常に珍しい取り組みとなります。
また、学生やその家庭にとっては有意義な制度になると考えられます。
なお、全寮制の学校となるため、寮費などの負担は発生する可能性があります。
具体的な金額など、まだはっきりしない点もあることから、最新の情報を収集するようにしましょう。
(追記)入試結果がホームページでまとめられています
神山まるごと高専の、栄えある第1期生の入試結果が、ホームページでまとめられています。
その結果を分析しましたので、ご覧ください。
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