高専は全国に57校あります。
その歴史は1962年に始まっており、60年の歴史を持つ学校も数多くあるということになるのです。
ところで、高専の中には設立から現在に至るまでの過程において、学校名を変更したり統廃合が行われたりしたものがいくつかあります。
そこで、高専の変遷を振り返り、どのような動きがあったのかをご紹介していきます。
国立高専の新設時期とその後の変遷
全57校の高専のうち、国立高専は51校あります。
その中には、工業高専と商船高専という2種類の学校がありますが、工業高専が47校、単独の商船高専は4校だけとなっています。
ここでは、これまでの高専の歴史を振り返りましょう。
1962年 1期校の開校
1期校として開校した国立高専は全部で12校あります。
いずれも工業高専であり、12校の内訳は以下のとおりです。
・函館(北海道)
・旭川(北海道)
・平(福島県)→1967年福島高専に改称
・群馬(群馬県)
・長岡(新潟県)
・沼津(静岡県)
・鈴鹿(三重県)
・明石(兵庫県)
・宇部(山口県)
・高松(香川県)→2009年廃止、香川高専へ
・新居浜(愛媛県)
・佐世保(長崎県)
1963年 2期校の開校
2期校として開校した国立高専は全部で12校あります。
2期校もすべて工業高専となっており、その内訳は以下のとおりです。
・八戸(青森県)
・宮城(宮城県)→2009年廃止、仙台高専へ
・鶴岡(山形県)
・長野(長野県)
・岐阜(岐阜県)
・豊田(愛知県)
・津山(岡山県)
・阿南(徳島県)
・高知(高知県)
・有明(福岡県)
・大分(大分県)
・鹿児島(鹿児島県)
1964年 3期校の開校
3期校として開校した国立高専も、1期校・2期校と同じく12校あります。
いずれも工業高専であり、その内訳は以下のとおりです。
・苫小牧(北海道)
・一関(岩手県)
・秋田(秋田県)
・茨城(茨城県)
・富山(富山県)→2009年廃止、富山高専へ
・奈良(奈良県)
・和歌山(和歌山県)
・米子(鳥取県)
・松江(島根県)
・呉(広島県)
・久留米(福岡県)
・都城(宮崎県)
1965年 4期校の開校
・釧路(北海道)
・小山(栃木県)
・東京(東京都)
・石川(石川県)
・福井(福井県)
・舞鶴(京都府)
・北九州(福岡県)
1967年 商船高専などの開校
1967年には、それまで全国に5校あった国立商船高等学校が一斉に商船高専になりました。
また、時を同じくして、高専の空白地帯となっていた千葉県に木更津高専が設置されました。
・木更津(千葉県)
・富山商船(富山県)→2009年廃止、富山高専へ
・鳥羽商船(三重県)
・広島商船(広島県)
・大島商船(山口県)
・弓削商船(愛媛県)
1971年 電波高専の開校
1971年、それまで国立電波高等学校として存在していた3校が、高専になりました。
新たに電波高専となったのは、以下のとおりです。
・仙台電波(宮城県)→2009年廃止、仙台高専へ
・詫間電波(香川県)→2009年廃止、香川高専へ
・熊本電波(熊本県)→2009年廃止、熊本高専へ
1974年 国立高専の設置に一区切り
1974年に工業高専2校が新たに設置されました。
これにより、国立高専を設置する動きはいったん終止符が打たれます。
・徳山(山口県)
・八代(熊本県)→2009年廃止、熊本高専へ
2004年 30年ぶりの国立高専新設
2004年にそれまで高専が設置されていなかった沖縄県に高専が設置されました。
・沖縄(沖縄県)
2009年 既設国立高専の統廃合
2009年に、同一県内の2つの高専を統合し、新たな高専が設置されました。
キャンパスや寮などの施設は引き続き使用していますが、定員を削減するなどの見直しが行われています。
・仙台(宮城県)←宮城と仙台電波
・富山(富山県)←富山と富山商船
・香川(香川県)←高松と詫間電波
・熊本(熊本県)←八代と熊本電波
公立高専の新設時期とその後の動き
公立大学の数は近年、大幅に増加しています。
しかし、公立高専の新設の動きは一向にありません。
また歴史的に見ても、公立高専として創設された学校の数はごくわずかしかありません。
1962年 高専の創設と同時に開校
国立高専の1期校と同じ年に開校した公立高専は、全部で2校あります。
いずれも東京都の所管によるものとなっています。
・都立工業高専→2010年廃止、都立産業技術高専へ
・都立航空高専→2010年廃止、都立産業技術高専へ
1963年 新たに2校が開校
国立高専の2期校が開設されるのと同じタイミングで、以下の2校の公立高専が開校しました。
・大阪府立(大阪府)→2011年大阪府立大学高専に改称、2022年大阪公立大学高専に改称
・神戸市立六甲(兵庫県)→1966年神戸市立工業高専に改称
1991年 久々の公立高専新設
1991年に、28年ぶりの公立高専新設が実現しました。
・札幌市立(北海道)→2009年閉校、札幌市立大学に移管
2006年 東京都立高専の再編
2006年、それまで2校あった東京都立高専が再編されました。
・都立産業技術←都立工業と都立航空
なお、既存の2校は卒業生を送り出したタイミングで閉校となっています。
私立高専の新設・廃止の動きと現存する学校
現存する私立高専はわずか3校ですが、これまでの変遷を振り返ると、閉校となった学校がいくつかあります。
私立高専の変遷についてまとめてみました。
1962年 1期校と同時に開校
1962年、国立高専の1期校開校と同時に、5校の私立高専が開校しました。
・聖橋(埼玉県)→1979年閉校、埼玉工業大学に移管
・金沢(石川県)→2018年国際高専に改称
・大阪(大阪府)→1979年閉校、摂南大学に移管
・熊野(三重県)→2000年近畿大学高専に改称
・高知(高知県)→1963年国立に移管
当時の校名のまま残っているのは、国立に移管した高知高専のみです。
なお、高知高専は1期校を目指していたが1期校には選ばれなかったため、私立校として学校を設立し、学生を受け入れたという経緯があります。
1963年 2期校と同時に開校
2期校と同時に開校した私立高専は2校あります。
・育英(東京都)→2005年サレジオ高専に改称
・幾徳(神奈川県)→1978年閉校、幾徳工業大学に移管後神奈川工業大学に
1965年 4期校と同時に開校
4期校と同時に開校した私立高専が1校あります。
・桐蔭学園(神奈川県)→1991年閉校、桐蔭学園横浜大学に移管
高専の定員は徐々に減っている
ここまですべての高専の設立からの変遷を紹介してきました。
私立高専の多くは私立大学に移管し、今も残る学校はわずかとなっています。
一方、国立高専や公立高専も統廃合が行われるなどして、学校の数が減少しています。
また、学校の数が大きく減ることはなくても、定員を削減する可能性があることから、その動向には注意しておきましょう。
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