国立高専に進学したいと考えている中学生やその親御さんにとって、大きな関心事の1つが学費がどれくらいかかるのかということです。
国立ということで、あまり高くないと想像する方が多いと思いますが、実際のところ、入学金や授業料はいくらくらいなのでしょうか。
また、高校から大学、大学院に進んだ場合と、高専から大学、大学院に進んだ場合の学費の比較をしてみます。
なお、学校に対する支払いは、入学金や授業料だけではありませんが、その金額の大きさや不確定要素を排除するため、入学金と授業料で比較していきます。
国立高専の学費はすべての学校で一律
全国には47の国立工業高専と、4つの国立商船高専があります。
全部で51の国立高専があることになりますが、入学金や授業料などの学費は、学校の種類や地域に関係なくすべて一律とされています。
国立高専の学費は、以下のとおりです。
・入学金 84,600円(入学時)
・授業料 234,600円(年額)
授業料は、学年が上がっても変動することはありません。
そのため、高専本科の5年の課程を終えるまでにかかる学費は、次のような計算になります。
84,600円+234,600円×5年=1,257,600円
また、高専専攻科に進む場合、入学金84,600円をもう一度支払います。
年間の授業料234,600円については変わることはありません。
そのため、高専本科+専攻科の計7年間の学費は、次のような計算になります。
84,600円+234,600円×5年+84,600円+234,600円×2年=1,811,400円
公立高校(全日制)の学費との比較
中学校を卒業して公立高校に進学した場合、どれくらいの学費になるのでしょうか。
公立高校の入学金や授業料を決定するのは各自治体ですが、実際のところほぼ一律となっています。
公立高校(全日制)の学費は、以下のとおりです。
・入学金 5,650円(入学時)
・授業料 118,800円(年額)
こちらも授業料は3年間同額です。
そのため、高校3年間の学費は、次のような計算になります。
5,650円+118,800円×3年=362,050円
国立大学の学費との比較
高校卒業後、国立大学に進みたいと考えている方もいると思います。
国立大学は私立大学に比べて学費が安く、学部による金額の差もないため、私立大学に進んだ場合に特に高額な授業料となる医学部などの人気が高くなっています。
国立高専への進学を考えている方の中にも、高校から国立大学への進学とどちらを選択するか決めかねている方がいるかもしれません。
国立大学の学費は、それぞれの学校が独自に定めることができます。
ただ、その標準的な金額を文部科学省が「標準額」として定めています。
国立大学の学費(標準額)は、以下のとおりです。
・入学金 282,000円(入学時)
・授業料 535,800円(年額)
なお、大学3年次から編入した場合も、入学金・授業料の金額は同額です。
国立大学に4年間通う場合の学費は、次のような計算になります。
282,000円+535,800円×4年=2,425,200円
国立大学の大学院の学費との比較
国立大学の学部生として4年間の課程を卒業した後、大学院に進学する方もいます。
特に理系の学部に進んだ場合、大学院に進学する学生の方が多数派という場合もあり、企業からのニーズも高いのです。
国立大学の大学院の学費(標準額)は、以下のとおりです。
・入学金 282,000円(入学時)
・授業料 535,800円(年額)
したがって、国立大学の大学院に2年間通う場合の学費は次の計算になります。
282,000円+535,800円×2年=1,353,600円
国立大学の大学院(2年)を終えるまでの学費の比較
ここまで公立・国立の高校、高専、大学、大学院の学費を見てきました。
学費がかからないと言われる公立・国立の学校であっても、実際にはそれなりに学費はかかるのです。
ところで、高校と高専、大学の学費にはかなりの違いがあることから、最終的に国立大学の大学院に進んだとしても、そこに至るまでの学費には違いが出てきます。
そこで、それぞれのルートごとにどれくらいの学費が必要になるのか、試算して比較してみましょう。
なお、高校在学中や高専入学時より3年間は、高等学校等就学支援金を受けることができ、年間118,800円の助成があります。
この制度も利用したものとして、学費の比較をしていきます。
公立高校→国立大学→国立大学大学院の場合
高校から大学に進学し、そのまま大学院に進学するパターンです。
ここでご紹介する3つのパターンの中では、圧倒的に多くなります。
この場合の入学金・授業料の推移は以下のようになります。
年齢 | 学年 | 入学金 | 授業料 | 助成金 |
---|---|---|---|---|
16歳 | 高校1年 | 5,650円 | 118,800円 | △118,800円 |
17歳 | 高校2年 | 118,800円 | △118,800円 | |
18歳 | 高校3年 | 118,800円 | △118,800円 | |
19歳 | 大学1年 | 282,000円 | 535,800円 | |
20歳 | 大学2年 | 535,800円 | ||
21歳 | 大学3年 | 535,800円 | ||
22歳 | 大学4年 | 535,800円 | ||
23歳 | 大学院1年 | 282,000円 | 535,800円 | |
24歳 | 大学院2年 | 535,800円 | ||
合計 | 3,784,450円 |
国立高専→国立大学編入学→国立大学大学院の場合
中学卒業後、高校ではなく国立高専に進学し、高専卒業後に大学編入を行う場合です。
高専を卒業した人の中には、大学進学を目指す人も多く、大学3年次への編入をはたした後、大学院に進む場合の学費は以下のようになります。
年齢 | 学年 | 入学金 | 授業料 | 助成金 |
---|---|---|---|---|
16歳 | 高専1年 | 84,600円 | 234,600円 | △118,800円 |
17歳 | 高専2年 | 234,600円 | △118,800円 | |
18歳 | 高専3年 | 234,600円 | △118,800円 | |
19歳 | 高専4年 | 234,600円 | ||
20歳 | 高専5年 | 234,600円 | ||
21歳 | 大学3年 | 282,000円 | 535,800円 | |
22歳 | 大学4年 | 535,800円 | ||
23歳 | 大学院1年 | 282,000円 | 535,800円 | |
24歳 | 大学院2年 | 535,800円 | ||
合計 | 3,608,400円 |
国立高専→国立高専専攻科→国立大学大学院の場合
中学卒業後、国立高専に進学し、さらに高専卒業後に高専の専攻科に進むことができます。
高専の専攻科を卒業後、大学院に進学できるため、この場合の学費は以下のようになります。
年齢 | 学年 | 入学金 | 授業料 | 助成金 |
---|---|---|---|---|
16歳 | 高専1年 | 84,600円 | 234,600円 | △118,800円 |
17歳 | 高専2年 | 234,600円 | △118,800円 | |
18歳 | 高専3年 | 234,600円 | △118,800円 | |
19歳 | 高専4年 | 234,600円 | ||
20歳 | 高専5年 | 234,600円 | ||
21歳 | 専攻科1年 | 84,600円 | 234,600円 | |
22歳 | 専攻科2年 | 234,600円 | ||
23歳 | 大学院1年 | 282,000円 | 535,800円 | |
24歳 | 大学院2年 | 535,800円 | ||
合計 | 2,808,600円 |
進学先によって学費が異なることは頭に入れておこう
国公立の学校であれば、比較的学費は安く済むということは誰もが知っていると思います。
しかし、最終的に国立大学の大学院まで進学した場合でも、高校から大学に進学した場合と、高専から大学に進学した場合、あるいは高専から専攻科を経て大学院に進学した場合ではその金額は大きく異なります。
比較すべき内容は学費だけではありません。
どの学校でどのようなことを学びたいのか、あるいはどのような学校生活を送りたいのかも重要なことです。
ただ、学校に通う間にかかる学費について、学生自身あるいは親御さんと一緒に考えておく必要があるのです。
コメント