国公立の高専は学費が安いので、お金の面で大きな心配はしていない方も多いでしょう。
ただ、自宅から高専に通うことのできない学生も多く、寮に入る人は学費とは別の負担が発生することとなります。
金銭的な負担を少しでも軽減することができる方法として有効なのが、給付型の奨学金です。
高専生が使える奨学金にはどのようなものがあるのか、ご紹介します。
給付型奨学金とは
最初に給付型奨学金とはどのようなものか、簡単に説明します。
奨学金には「給付型」と「貸与型」の2種類があります。
このうち貸与型とは、高専に通うために必要なお金を貸与、つまり貸してもらえる制度です。
貸与してもらうものなので、就職後に毎月お金を返済していくこととなります。
利息の負担は一般的な銀行のローンより有利になっていることが多く、中には無利息という条件のものもあります。
これに対して給付型とは、簡単にいえば高専に通うのに必要なお金をもらえる制度です。
給付されたお金は、学校を卒業した後にも返済する必要はありません。
貸与型の奨学金も、利息の計算では有利になっていることが多いのですが、元金は返済しなければなりません。
一方の給付型であれば、後から返済する必要はありません。
ただし、給付型奨学金を受け取るには条件をクリアしなければならず、希望者の中から実際に給付を受けられる人が選抜されることとなります。
国立高専機構の奨学金
国立高専機構のホームページには、国立高専機構が独自に用意している奨学金として、以下の奨学金を掲載しています。
ここでは、それぞれの奨学金についてより詳しく、その中身を見ていきます。
天野工業技術研究所奨学金
公益財団法人天野工業技術研究所が実施している奨学金です。
高専生のほか、工業高校生や理工系の大学院生を対象とした奨学金も設けています。
高専生を対象とした奨学金については、以下のような内容となっています。
対象者 | 高専5年生 |
給付額 | 月額4万円/年額48万円 |
給付期間 | 1年間 |
採用予定人数 | 124名 |

公益財団法人ウシオ財団奨学金
公益財団法人ウシオ財団が実施している奨学金です。
大学院生向けと高専専攻科向けの2種類があり、高専生の場合は専攻科に進学する場合のみ、利用することができます。
対象者 | 高専専攻科生 |
給付額 | 月額6万円/年額72万円 |
給付期間 | 2年間 |
採用予定人数 | 5名 |

上田記念財団奨学金
一般財団法人上田記念財団が実施している奨学金です。
大学生・大学院生を対象にするものと、高専生を対象にするものの2つに分かれています。
対象者 | ・高専で土木工学を学ぶ者 ・本科4年生または専攻科1年生に進学予定の者 |
給付額 | 月額4万円/年額48万円 |
給付期間 | 2年間 |
採用予定人数 | 不明 |
ホームページに詳細な情報はないので、各学校から公表されている募集要項を確認するようにしましょう。
下記の募集要項は、令和6年4月度に長野高専から公表された募集要項です。
ニコン奨学金
株式会社ニコンにより2023年度に新設された、高専生を対象とする奨学金です。
最初の年度には40名が選出されており、その後も毎年40名を選考する予定となっています。
対象者 | 国立高専51校に在籍する本科2年生以降の学生 |
給付額 | 本科生:年額24万円 専攻科生:年額36万円 |
給付期間 | 2年間 |
採用予定人数 | 本科生60名(各学年15名) 専攻科生20名(各学年10名) |
高専に特化した給付型奨学金としては、人数の面で最大規模となっています。
Unicage奨学金
有限会社ユニバーサル・シェル・プログラミング研究所(UPS研究所)からの支援を受け、国立高専生を対象とする奨学金が支給されます。
2023年度から実施されており、比較的新しい制度となっています。
対象者 | IT基礎力講座を受講し、その総まとめとして行う試験に合格した学生後のうち、成績が上位60位以内の者 |
給付額 | 本科生:年額24万円 専攻科生:年額36万円 |
給付期間 | 2年間 |
採用予定人数 | 最大50名程度 |
奨学金の応募の前提条件として、IT基礎力講座を受講しなければならない点が大きな特徴です。

関電工奨学金
株式会社関電工が実施する奨学金の制度であり、国立高専生を対象としています。
対象者 | ・本科3年生または4年生に在学する者 ・電気系、電子系、建設系、建築系のいずれかの学科又はコースに所属する者(部活動等への所属や収入制限あり) |
給付額 | 月額2万円/年額24万円 |
給付期間 | 1年間 |
採用予定人数 | 最大6名 |
下記の書類は、関電工奨学金の利用希望者に対して、豊田高専から公表された文書です。
自立応援入学支援金
ジー・オー・ピー株式会社が実施する、令和7年度受験生から新たに始まった奨学金制度です。
これまで紹介した奨学金とは異なり、入学金相当額を支援するものとなっています。
対象者 | ・高専を受験する者 ・入寮を希望する者 ・学校から自宅までの所要時間が3時間以上かかるなどの条件を満たす者 |
給付額 | 84,600円 |
給付期間 | - |
採用予定人数 | 3名 |
学生が直接申し込むことのできる奨学金
ここまで紹介してきた奨学金とは違い、在籍する高専の推薦なしに申し込むことができる奨学金があります。
似鳥国際奨学財団 給付型奨学金(高校生)
公益財団法人似鳥国際奨学財団が実施する奨学金制度です。
留学生、大学生、高校生、中学生を対象とする4つの給付型奨学金があり、高校生と中学生を対象にするものは、ひとり親家庭に対して給付を行うものです。
高専生はこのうち、高校生を対象にする奨学金を受けられます。
対象者 | ・ひとり親家庭 ・高専(本科)の1~5年に在籍予定の者 |
給付額 | 月額4.5万円 |
給付期間 | 審査により卒業まで受給可能 |
採用予定人数 | 最大350名 |
一般財団法人あしなが育英会奨学金(高校・高専)
一般財団法人あしなが育英会は、遺児や親が障害者の家庭の子供を支援するための組織です。
大学や専門学校に進学する学生のほか、高専への進学を希望している人に対しても奨学金が給付されます。
対象者 | ・病気や災害などで親を亡くした者 または ・親が1級~5級の障害認定を受けている者 |
給付額 | 月額3万円 |
給付期間 | 卒業まで最長5年間 |
採用予定人数 | 最大800名 |
両親を亡くした人や、親が障害者である人をターゲットにしており、誰でも利用できるわけではありません。
ただし条件にあてはまる人の場合は、高専に在籍している期間すべて利用できるので、大きなプラスになります。
【まとめ】利用できるものは利用して、余裕のある学生生活を送ろう!
ここでご紹介した奨学金以外にも、出身地ごとに利用できる奨学金など、多くの制度が設けられています。
そのため、様々な情報を収集して、奨学金を受けられないか調べてみるようにしましょう。
奨学金を受けられると、学校生活に少なからず余裕が出て、より充実した環境を作り出すことができるはずです。
審査に通るかどうか不安もあるかと思いますが、なんでもチャレンジと思って、どんどん利用できるものは利用していきましょう。
コメント