滋賀県野洲市に開校が予定されている滋賀県立高等専門学校については、以前から何度かその状況をお伝えしてきました。
久しぶりに滋賀県立高等専門学校の状況をご紹介します。
正式に発表された内容については、確定情報としてとらえることができるようになりましたが、同時に心配すべき点もいくつか明らかになっています。
滋賀県立高専の状況①基本情報が明らかになる
これまでも滋賀県立高専について、構想段階での情報をご紹介してきましたが、2025年5月時点では公式のホームページにおいて基本情報が公表されています。
- 開校予定時期 2028年4月
- 開校予定地 野洲市市三宅
JR野洲駅から 徒歩約17分(約1.3km)
JR京都駅からJR野洲駅まで 30分
JR大阪駅からJR野洲駅まで 60分
※ 遠方の方向けに学生寮(50名規模)も整備予定 - 入学定員 1学年120名
- 設置・運営主体 公立大学法人滋賀県立大学
ホームページで明らかにされている基本情報は、これまでにお伝えした情報と違いはありません。
ただ、これまでは確定情報でなかった内容が、今の時点では確定したものととらえることができます。
ここで注目すべき内容は、以下の2点です。
- 公式ホームページでJR京都駅やJR大阪駅からの所要時間が記載されている
- 公立の高専には珍しく学生寮が設置される予定となっている
この2点から、滋賀県外の中学校出身者も進学できる学校となることが想定されます。
滋賀県のお隣、京都府内には日本海側となる舞鶴高専しかなく、京都市内から通学するのは困難です。
また大阪公立大学高専は原則大阪府内の中学校出身者でないと事前審査が必要ですし、京都市近郊から奈良高専に通うのも大変です。
すると滋賀県の中学生だけでなく、京都市近辺の中学生にとっても、滋賀県立高専は有力な進学先となる可能性があります。

滋賀県立高専の状況②初代校長予定者が明らかになる
滋賀県立高専の初代校長に、京都大学名誉教授の北村隆行氏が就任しました。
(この就任のニュース自体は2024年10月1日付で公表されています。)
北村氏は京都大学・同大学院から財団法人電力中央研究所を経て、京都大学の教授、副学長などを務めてきた方とのことです。
工業高専という学校の性格上、非常に楽しみな方を初代校長に迎え入れたと思います。
通常であれば高校に進学して受験を意識した勉強をしている年代の16歳、17歳の時期に、その分野の専門家のいる学校で毎日勉強できるのは、有意義な時間になるものと思われます。
また2025年4月1日付で、公立大学法人滋賀県立大学に高専開設準備局が開設され、7名の開校準備教員も着任したとのことです。
滋賀県立高専の状況③学科・コースが明らかになる
滋賀県立高専は、工学系の総合学科1学科の中に、機械系、電気電子系、情報技術系、建設系(環境・インフラ系)の4つのコースが設定されることが明らかになりました。
なお、入学時は全学生が情報技術の考え方を基盤として学び、第2学年時以降、4つの専門コースに分かれることとされています。
入学定員120名が4つのコースに分かれるため、1クラスの人数は30名程度となり、少人数での教育を受けられます。
これまで多くの高専が1クラス40人を基本としてきた中で、より少人数での授業を受けられるのは魅力となることでしょう。

滋賀県立高専の状況④多くの企業の期待を集めている
滋賀県立高専の開校実現を目指した初期の段階で、滋賀県内の経済団体や公立大学法人滋賀県立大学、滋賀県などが情報共有やコミュニケーションを図る場として「県立高専共創フォーラム」が立ち上げられています。
このフォーラムの活動に賛同する企業が、滋賀県立高等専門学校のホームページで公表されています。
令和7年3月26日時点では、滋賀県内外の企業223社や17の団体など、あわせて361の団体や個人がこのフォーラムに参画しています。
多くの企業が滋賀県立高専の開校を期待しており、これらの企業が将来の就職先の候補となる可能性もあります。
これらの多くは滋賀県に本社がある、あるいは滋賀県に支社や工場がある企業が多く、地元で進学し、地元で就職するというルートが確立することへの期待が込められています。
現段階での注意点①専攻科は設置されない予定
滋賀県立高専は、5年間の本科を終えた後、さらに2年間の学習・研究を深められる専攻科が設置されない予定とされています。
専攻科に進めば大学卒業と同じく学士の称号が得られ、大卒の学生と同じ条件で就職できるので、専攻科に進学できるのは重要な選択肢の1つとなりますが、現段階ではそのような選択は難しくなりそうです。
もちろん、自校に専攻科がなくても、他の高専の専攻科に進学することはできるので、絶対に不利になるわけではありません。
ただ、他の高専の専攻科進学者のほとんどが自校の本科からとなっているので、専攻科に進みたいと考える学生にとって不利になってしまう可能性はゼロではありません。
滋賀県立高専としては、同じく専攻科を持たない大阪公立大学高専のように、高専と大学の連携をより強固にする可能性があります。
この場合、さらに学習・研究を深めたいという学生は、滋賀県立大学への編入学を目指すこととなります。
滋賀県立高専と滋賀県立大学の研究分野に関連があり、大学に進むことでさらに学習・研究を深められるのであれば、そのような選択肢も考慮に入れておくといいでしょう。
現段階での注意点②京都府や大阪府からの志願者がどれくらいあるのか
今のところ、入学者に関する詳細な条件が確定しているわけではないので、入試の難易度がどれくらいになるのかまだ分かりません。
ただ、状況的に滋賀県外からの入学者を受け入れる可能性は高いといえそうです。
国立高専の入試では、基本的に所在地の都道府県内の高校入試と並べて考えられ、偏差値が設定されます。
ただ、県外からの進学者が多くなると、滋賀県内の高校入試とだけ比較しても高専の入学試験におけるポジションを測りにくい状況となります。
そのため、県外からの進学者がどれくらい集まるのか、とても注目されます。
仮に京都府や大阪府などから、多くの優秀な中学生の志願者を集めるような状況になれば、偏差値などが上振れすることも考えられるのです。
滋賀県立高専という学校の性格上、滋賀県内の中学生について定員枠を設ける可能性もあると思われます。
この場合は、どれくらいの人数になるのかも注目されますが、今のところすべて不明です。
どのような方式で試験を実施するのか、今後の発表が注目されますが、まだ正式発表はしばらく先になることでしょう。
【まとめ】新しい学校で新しい歴史の一員となろう
このご時世、国立・公立の新しい学校ができるということはあまりありません。
そういった意味で、滋賀県立高専が新たに開設されることは、全国的に見ても大きなニュースといえます。
高専に進学することのメリットはこのサイトの中でもお伝えしてきたつもりですが、滋賀県立高等専門学校のホームページでも確認しておくといいでしょう。
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