高専に通う学生はどれくらいお金がかかるのか③高専に通う学生の生活費の総額と内訳

高専の学費

高専に通う学生が使っている生活費には、どのようなものが含まれているのでしょうか。
特に自宅から通う学生と、寮や下宿から通う学生ではどのような違いがあるのでしょうか。
ここでは、「令和2年度高等専門学校生生活調査」から、高専に通う学生の生活費について、調査結果の分析と解説を行います。

調査の実施方法

令和2年度高等専門学校生生活調査は、以下のような方法で調査が実施されました。

・調査の対象
高等専門学校第4、第5学年の学生(ただし社会人を含み、休学者や外国人留学生を含まない)

・調査の時期
令和2年(2020年)11月

・調査数
全国の高等専門学校の第4、第5学年の学生20,689人のうち5,986人
内訳:国立高専については10/49
公立高専、私立高専については全数調査

なお、この調査は隔年で実施されるものとされ、前回は平成30年(2018年)に実施されています。

生活費として支払う金額は年間37万円

今回の調査では、「生活費」として高専生が1年間に支払う金額の平均は、377,600円となりました。
この内訳は、食費が103,000円、住居・光熱費が38,700円、保健衛生費が32,900円、娯楽・し好費が84,000円、その他の日常費が119,000円となっています。

なお生活費の合計額は、前回調査と比較すると23,000円減少しています。
特に減少しているのは、娯楽・し好費(97,200円から13,200円減少)、食費(112,000円から9,000円減少)です。
その他の項目もほぼ減少していますが、唯一、保健衛生費だけは3,700円の増加となりました。

区分金額前回調査の金額前回からの増減
食費103,000112,000▲9,000
住居・光熱費38,70040,000▲1,300
保健衛生費32,90029,200+3,700
娯楽・し好費84,00097,200▲13,200
その他の日常費119,000122,200▲3,200
合計377,600400,600▲23,000
高専生の生活費の負担(令和2年度高等専門学校生活調査より)

国立・公立・私立の区分別の生活費の違い

生活費の金額は、学校の種類による違いはそれほどでないと考えられます。
ただ、この調査では国立、公立、私立の別に、生活費の金額の内訳を公表しています。
参考になる数値もあるので、その金額を確認しておきましょう。

国立高専の生活費

国立高専の学生の生活費は、以下の表のようになっています。

区分金額
食費106,400
住居・光熱費41,000
保健衛生費33,300
娯楽・し好費83,600
その他の日常費120,600
合計384,900
国立高専生の生活費の負担(令和2年度高等専門学校生活調査より)

公立高専の生活費

公立高専の学生の生活費は、以下の表のようになっています。

区分金額
食費71,000
住居・光熱費4,100
保健衛生費30,100
娯楽・し好費86,600
その他の日常費104,600
合計296,400
公立高専生の生活費の負担(令和2年度高等専門学校生活調査より)

私立高専の生活費

私立高専の学生の生活費は、以下の表のようになっています。

区分金額
食費79,200
住居・光熱費46,500
保健衛生費28,300
娯楽・し好費90,300
その他の日常費105,800
合計350,100
私立高専生の生活費の負担(令和2年度高等専門学校生活調査より)

学費の場合は、学校の種類によって大きな違いがありました。

しかし生活費の場合は、学校の種類が違っても、学費のような大きな違いはないようです。

しいて言えば、公立高専には寮がなく、基本的に地元の学生が多く通っていることから、住居・光熱費が10分の1以下になっていることくらいでしょうか。

そのほかの項目は、学校の種類によって大きな傾向の違いはありません。

居住形態別の生活費

学校の種類による違い以上に生活費に違いが出る可能性があるのは、学生が自宅から通うのか、あるいは寮や下宿から通うのかといった、居住形態の違いです。
この調査では、居住形態別の生活費について公表されているので、その内容を確認しておきましょう。

自宅から通う学生

自宅から高専に通う学生の生活費は、合計で約29万円となっています。
その内訳は以下のとおりです。

区分金額
食費56,700
住居・光熱費
保健衛生費33,700
娯楽・し好費86,400
その他の日常費115,800
合計292,600
自宅から通う高専生の生活費の負担(令和2年度高等専門学校生活調査より)

学寮に入る学生

高専の設置する寮に住んで高専に通う学生の生活費は、合計で約53万円となっています。
その内訳は以下のとおりです。

区分金額
食費229,500
住居・光熱費79,700
保健衛生費31,600
娯楽・し好費69,600
その他の日常費125,900
合計536,300
学寮から通う高専生の生活費の負担(令和2年度高等専門学校生活調査より)

アパート等で下宿する学生

アパートなどに下宿して高専に通う学生の生活費は、合計で約85万円となっています。
その内訳は以下のとおりです。

区分金額
食費208,800
住居・光熱費372,300
保健衛生費27,400
娯楽・し好費108,900
その他の日常費132,700
合計850,100
アパート等から通う高専生の生活費の負担(令和2年度高等専門学校生活調査より)

自宅生と下宿生では3倍ほど違う

自宅から高専に通う学生の生活費は、すべての項目において低めの金額となっています。
一方、寮から通う学生の生活費は、食費と住居・光熱費の項目で、自宅から通う学生よりかなり高い金額になっています。
下宿生の場合は、ほぼすべての項目で一番高い金額となっています。
そのため、自宅から通う学生と比較すると、下宿生の生活費は3倍近くの金額となっています。

生活費は居住形態で大きく変わる。どのように通うかは重要な高専選びのポイントに

ここでは、高専生の生活費のデータを見てきました。
生活費の金額は、どこに居住して高専に通うかにより大きく変わります。
特に、自宅から通う場合と下宿から通う場合では、生活費の金額は毎年55万円の差が生まれることが分かりました。
この差は、単純に5年間で計算すると、実に275万円もの差になります。

高専に進学したいという人は、どの高専に通うかによって、生活費に大きな差が出ることを知っておきましょう。
そして、高専に進学した後の進路なども考えたうえで、どの高専に進学を希望するのか、保護者の意見も聞きながらよく考えるようにしましょう。

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