高専からどのような大学に編入しているのか?高専機構の資料から確認しよう

高専卒業後の進路

高専を卒業した学生の進路は、大きく「進学」と「就職」に分かれます。
このうち高専を卒業してから進学する場合、ほとんどの人は高専の専攻科に進むか、編入試験を受けて大学に進むかを選択します。
(少数派ですが、自身の興味・関心が移り変わったため、これまでの勉強とは無関係の専門学校などに進む人もいます。)

大学に編入する人は試験を受けて、合格を勝ち取る必要があります。
大学に編入する際に受ける試験は、高校生が大学に入学する際に受験する入試試験とは違います。
偏差値の高い人から希望する大学に進学するのとは大きく異なるため、大学編入について、高専に進学する前からある程度イメージしておくといいでしょう。
また、高専から編入しやすい大学とそうでない大学があるので、どのような大学に多く編入しているのか、高専生の傾向を確認しておきましょう。

高専からどの大学に編入しているのか

高専を卒業するタイミングで編入試験を受けて合格すれば、大学3年生に編入することができます。
なお、多くの大学では大学3年生に編入できますが、2年生からとなっている大学もあるので注意が必要です。

編入の制度は、国公立・私立の違いに関係なく、多くの大学で設けられています。
高専機構は毎年、「国立高専機構 概要」として国立高専のあらゆるデータを公表しています。

この中から、国立高専の卒業生の進学先(P17)をご紹介します。

国立/公立/私立大学名人数
国立豊橋技術科学大学344
国立長岡技術科学大学282
国立筑波大学67
国立九州大学63
国立熊本大学55
国立千葉大学54
国立東京農工大学53
国立九州工業大学53
国立岡山大学49
国立新潟大学44
国立金沢大学43
国立大阪大学42
国立信州大学41
国立東北大学35
国立広島大学35
国立福井大学33
国立神戸大学32
国立東京工業大学30
国立名古屋大学28
国立北海道大学27
国立京都工芸繊維大学27
国立宇都宮大学25
国立岐阜大学25
国立三重大学24
国立徳島大学24
国立茨城大学23
国立電気通信大学23
国立山梨大学23
私立千葉工業大学22
私立立命館大学21
国立群馬大学20
国立佐賀大学20
公立東京都立大学20
国立東京大学19
「高専概要 2023年度」主な大学への編入学状況より

ここからは、高専全体の傾向について少し解説していきます。

2つの技術科学大学への進学者が多い

現在、長岡技術科学大学と豊橋技術科学大学という2つの技術科学大学があります。
これら2つの大学は、単に名称から技術や科学に関して学べる大学というだけではありません。
高専からの編入しやすいという大きな特徴があります。

いずれの大学も、普通に大学入試試験を受けて、1年生から入学できます。
ただ、1年生から入学する場合と、3年生から編入する場合の定員は、他の大学では考えられないような配分になっています。
以下の定員を見てもらえば、その違いがすぐに分かります。

長岡技術科学大学

   1年生の入学定員 80人
   3年生の入学定員 340人
豊橋技術科学大学

   1年生の入学定員 80人
   3年生の入学定員 360人

両校とも、圧倒的に3年生から入学してくる学生が多くなっています。
これはそもそも、この両校が高専生の受け皿として設立された大学だからです。
高専から編入する際に、他の大学より受験しやすい条件となっているため、多くの高専生の進学先となっているのです。

国立大学が多い

国立高専から、大学の編入試験を受けて実際に編入した人の人数をみると、圧倒的に国立大学が多いことが分かります。
大学の理系学部に進学する場合、私立大学より国立大学の方が定員が多い、あるいは専攻できる分野が幅広いというように、国立大学が選択されやすい状況にあります。
ただ、理系学部の事情を考えてもなお、国立大学に進学している人が多いのは高専生ならではといえるでしょう。

私立大学に進学する人も一定数いますが、早慶やMARCHといった大学が上位に入ることはなく、「名より実」を取る選択がされているといえそうです。

旧帝大などの難関大学も大勢進学している

先ほどご紹介した上位進学先の中には、いわゆる難関大学と呼ばれる学校も数多く含まれています。
例えば7校ある旧帝大では、京都大学以外の6校が含まれていますし、それ以外にも筑波大学や神戸大学、東京工業大学などの名前もあります。
そのほか、国立大学の中でも全国的に志願者を集める大学が数多く含まれています。

これらの大学が高専からの編入先として選ばれているのは、単に知名度の高さだけでなく、大学で行われている高度な研究・教育を志向する高専生にマッチしているといえます。
また、高専で行われている教育のレベルの高さから、大学側からも高専生を積極的に受け入れているという実情もありそうです。

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