5年の課程を終えて高専を卒業すると、就職するか進学するか、あるいはそれ以外の選択をするのか、いずれにしても大きな決断をしなければなりません。
高専の卒業生は、優秀な人が進学し、進学が難しい人が就職するというわけではありません。
それぞれの学生が自身の目標を定め、そのためには就職した方がいいのか、あるいは進学した方がいいのかを考え、その目標に向かった結果、進路はバラバラになるのです。
ただし、学校や学科によっては進路の傾向がはっきりしていることもあるので、学校ごと、あるいは学科ごとの進路を確認していきます。
なお、ここでは原則として、令和6年度(令和7年3月)卒業生の進路として各学校が公表しているデータをもとにしています。
函館高専の概要
函館高専は生産システム工学科、物質環境工学科、社会基盤工学科の3つの学科を有しています。
また生産システム工学科には機械コース、電気電子コース、情報コースの3つのコースが設置されており、学科・コースごとの進路の状況が公表されています。
生産システム工学科機械コース
| 就職 | 進学 | その他 | 合計 |
| 20 | 19 | 1 | 40 |

| 函館高専専攻科 | 6 |
| 長岡・豊橋技術科学大学 | 5 |
| 旧帝大・東京科学大学・神戸大学 | 0 |
| その他の国立大学 | 7 |
| 公立大学 | 0 |
| 私立大学 | 1 |
| その他 | 0 |
就職と進学がほぼ半々となっています。
進学先として最も多いのは函館高専専攻科です。
大学編入先としては、大半の学生が国立大学にしていることが分かります。
生産システム工学科電気電子コース
| 就職 | 進学 | その他 | 合計 |
| 19 | 6 | 1 | 26 |

| 函館高専専攻科 | 1 |
| 長岡・豊橋技術科学大学 | 3 |
| 旧帝大・東京科学大学・神戸大学 | 0 |
| その他の国立大学 | 1 |
| 公立大学 | 0 |
| 私立大学 | 1 |
| その他 | 0 |
電気電子コースは7割以上の学生が就職しています。
進学先に偏りはありませんが、私立大学への進学者は1名だけです。
生産システム工学科情報コース
| 就職 | 進学 | その他 | 合計 |
| 31 | 12 | 0 | 43 |

| 函館高専専攻科 | 1 |
| 長岡・豊橋技術科学大学 | 3 |
| 旧帝大・東京科学大学・神戸大学 | 0 |
| その他の国立大学 | 3 |
| 公立大学 | 5 |
| 私立大学 | 0 |
| その他 | 0 |
情報コースも7割以上の学生が就職しています。
特徴的なのは公立大学への進学者が多いことで、5名はすべて公立はこだて未来大学への進学者です。
なお、前年の令和5年度卒業生は就職と進学の人数がともに17名と同数でした。
このように、同一のコースでも年度によって進路の傾向に違いがあることが分かります。
物質環境工学科
| 就職 | 進学 | その他 | 合計 |
| 29 | 15 | 0 | 44 |

| 函館高専専攻科 | 3 |
| 長岡・豊橋技術科学大学 | 6 |
| 旧帝大・東京科学大学・神戸大学 | 1 |
| その他の国立大学 | 5 |
| 公立大学 | 0 |
| 私立大学 | 0 |
| その他 | 0 |
物質環境工学科の卒業生も、就職の比率が高いことに変わりありません。
進学先としては豊橋技術科学大学が4名と最多で、その他もすべて高専専攻科または国立大学となっています。
社会基盤工学科
| 就職 | 進学 | その他 | 合計 |
| 12 | 14 | 0 | 26 |

| 函館高専専攻科 | 6 |
| 長岡・豊橋技術科学大学 | 4 |
| 旧帝大・東京科学大学・神戸大学 | 2 |
| その他の国立大学 | 2 |
| 公立大学 | 0 |
| 私立大学 | 0 |
| その他 | 0 |
社会基盤工学科は、就職より進学の方が人数が多くなっています。
進学先は函館高専専攻科が最多で、豊橋技術科学大学も4名となっています。
また、東大にも1名進学しています。
なお、令和5年度については就職が7割以上となっており、進学の方が多いのは毎年の傾向というわけではなさそうです。
まとめ
函館高専を卒業した学生の進路は、学科やコースによって傾向が異なることが分かります。
7割以上が就職しているコースもあれば、進学の方が多い学科もあり、学生が個々に考えて進路を選択していると思われます。
なお、進学先は函館高専専攻科が多いのですが、地理的に不利な状況にも関わらず豊橋技術科学大学への進学者も多くいます。
令和6年度だけでなく、それ以前の状況についても確認できると、より心強いかもしれません。


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