高専への進学を考えている中学生の方、そしてお子さんの受験で頭を悩ませている親御さんへ、高専の入試情報をご紹介します。
高専の入試方法は、国立高専であっても統一されているわけではなく、学校ごとに違いがあります。
高専の入試では推薦入試での入学者数の比率が高いため、まずは推薦入試での合格を目指すべきです。
また試験の時期が早いので、ほかの受験生と比較すると、試験に向けて早く動き出す必要があります。
ここでは、高専ごとに推薦選抜と学力検査選抜(いわゆる一般入試)の実施方法をご紹介していきます。
なお、実際の受験にあたっては、必ず募集要項を確認してください。
募集人員
どのような学科が設置されているか、それぞれの学科の定員が何名かを知ることができます。
入学時は一括募集となっており、2年生以降にコース分けが行われる学校もあるので、どのような形で入試が実施されるのか確認しておきましょう。
学科 | 入学定員 | 推薦による選抜の募集人員 |
未来創造工学科 | 160名 | 50%程度(80名程度) |
一関高専には未来創造工学科の1学科が設置されています。
学科の入学定員は160名となっており、そのうち50%程度は推薦により選抜するものとしています。
第2学年からは機械・知能、電気・電子、情報・ソフトウェア、化学・バイオの4つの系に分かれ、より専門的に学ぶこととなります。
推薦による選抜
高専の推薦選抜の定員は、学力検査選抜の定員より多くなっている学校もあります。
高専を目指す場合、まずは推薦選抜での合格を目指すこととなるので、出願資格は要チェックです。
試験の概要
推薦による募集人員 | 50%程度(80名程度) |
出願資格(成績等) | 次のいずれかに該当する者 ①第2学年と第3学年の9教科の評定値が合計72以上 ②第2学年と第3学年の5教科(国語、社会、数学、理科、英語)の評定値が合計40以上 |
選抜方法 | 調査書(250点満点、第2学年及び第3学年の評定値をもとに換算)及び面接(90点満点)の総合点で判定する |
一関高専の推薦による選抜の出願資格には、2つの基準が設けられています。
2つの基準の違いは9教科を対象とするか、それとも5教科のみを対象とするかです。
第2学年と第3学年の評定値を用いること、平均して各科目4以上の評定値が求められる点は同じなので、どちらの基準の方が緩いということはないかもしれません。
日程
WEB出願エントリー期間 | 令和7年12月2日~令和7年12月23日 |
出願書類受付期間 | 令和7年12月19日〜令和7年12月24日16時(必着) |
検査日 | 令和8年1月10日 |
合格内定発表日 | 令和8年1月19日12時 |
入学確約書提出期限 | 令和8年1月30日17時(必着) |
入学説明会 | 令和8年3月11日 |
入学手続等 | 令和8年3月11日〜令和8年3月17日16時 |
学力検査による選抜
学力選抜では、基本的に入学定員から推薦選抜合格者数を除いた人数の募集が行われます。
また、推薦選抜に出願して合格にならなかった人は、学科などを変更する場合を除いて、手続きをしなくても学力検査選抜を受験できます。
試験の概要
学力選抜による募集人員 | 50%程度(80名程度) |
学力検査点の配点 | 国語、社会、数学、理科、英語の5教科 各教科100点の500点満点 |
内申点の配点 | 250点満点 第2学年及び第3学年の評定値をもとに換算 |
選抜方法 | 学力検査の成績及び調査書の総合点で判定する 学力検査の各科目の得点が基準に達しない場合は不合格になることがある |
一関高専の学力検査による選抜は、国語、社会、数学、理科、英語の5教科で行われます。
科目による傾斜はなく、分かりやすい配点となっています。
内申点の点数は250点満点で、対象となるのは2年生と3年生です。
ただし、教科ごとや各学年ごとの配点は公表されていません。
なお、学力検査で特に低い得点の科目があると、総合点では合格ラインにあっても不合格となる可能性があるので注意しましょう。
日程
WEB出願エントリー期間 | 令和8年1月6日~令和8年1月22日 |
出願書類受付期間 | 令和8年1月19日〜令和8年1月23日16時(必着) |
検査日 | 令和8年2月8日 |
合格発表日 | 令和8年2月20日12時 |
入学説明会 | 令和8年3月11日 |
入学手続等 | 令和8年3月11日〜令和8年3月17日16時 |
東北地区高専複数校志望受験制度
高専を志望する受験生の進路選択拡大のため、東北地区4高専の学力選抜において、複数の高専に同時に出願することが可能となる制度が設けられています。
志望可能な高専
高専名 | 学科名 | コース名 | 募集人員 |
---|---|---|---|
一関高専 | 未来創造工学科 | 機械・知能系 電気・電子系 情報・ソフトウェア系 化学・バイオ系 | 80名 |
八戸高専 | 産業システム工学科 | 機械・医工学コース | 12名 |
電気情報工学コース | 12名 | ||
マテリアル・バイオ工学コース | 12名 | ||
環境都市・建築デザインコース | 12名 | ||
仙台高専 | 総合工学科 | Ⅰ類(情報・電子系) | 60名 |
Ⅱ類(電気・材料・機械・情報系) | 50名 | ||
Ⅲ類(建築系) | 20名 | ||
秋田高専 | 創造システム工学科 | 機械系 電気・電子・情報系 物質・生物系 土木・建築系 | 50名 |
東北地区の高専を対象とした制度ですが、東北地方にあるすべての高専が含まれているわけではありません。
鶴岡高専や福島高専は対象となっていないことに注意しましょう。
選抜方法と注意点
東北地区高専複数校志望受験制度を利用した場合、志望順位が上位の高専への合格が優先されます。
複数校に出願したからといって、複数校に合格することはありません。
また、合格した際は必ず入学することが出願の条件となっています。
4校の高専のうち、秋田高専のみ学力検査が4教科となっています。
ただ、秋田高専を第1志望とする場合でも、東北地区高専複数校志望受験制度を利用する場合は、社会を受験しなければなりません。
また、東北地区高専複数校志望受験制度を利用した人が学力検査で一関高専に合格した場合、入学意思確認書を提出することとされています。
一関高専では令和8年2月27日17時(必着)とされており、この期限までに提出しないと入学が認められないことがあります。
近年の入試の状況
過去の入試の状況を確認して志願者数や倍率などを知っておくことは、受験する際には大変有益です。
学校や学科で迷っている方は、自分が何をしたいのかを考えるのが第一ですが、これらの数値も参考にしておくといいでしょう。
本科入学者選抜状況(令和5年度)
志願者数 | 学力検査受験者数 | 入学者数 | 入学者最高点 | 入学者平均点 | |
未来創造工学科 | 164 | 82 | 63 | 414 | 303 |
本科入学者選抜状況(令和6年度)
志願者数 | 学力検査受験者数 | 入学者数 | 入学者最高点 | 入学者平均点 | |
未来創造工学科 | 186 | 105 | 79 | 416 | 299 |
本科入学者選抜状況(令和7年度)
志願者数 | 学力検査受験者数 | 入学者数 | 入学者最高点 | 入学者平均点 | |
未来創造工学科 | 221 | 132 | 89 | 401 | 331 |
ここ3年の志願者数などの状況をみると、推薦選抜と学力選抜をあわせた志願者数は大きく増加していることが分かります。
学科の見直しなどが行われたわけではないので、この動きがどのような理由によるものかははっきりしませんが、高専の人気が高まっているような状況であるとすれば、さらに志願者数が増加する可能性もあるので、注意が必要です。
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