高専への進学を考えている中学生の方、そしてお子さんの受験で頭を悩ませている親御さんへ、高専の入試情報をご紹介します。
高専の入試方法は、国立高専であっても統一されているわけではなく、学校ごとに違いがあります。
高専の入試では推薦入試での入学者数の比率が高いため、まずは推薦入試での合格を目指すべきです。
また試験の時期が早いので、ほかの受験生と比較すると、試験に向けて早く動き出す必要があります。
ここでは、高専ごとに推薦選抜と学力検査選抜(いわゆる一般入試)の実施方法をご紹介していきます。
なお、実際の受験にあたっては、必ず募集要項を確認してください。
募集人員
どのような学科が設置されているか、それぞれの学科の定員が何名かを知ることができます。
入学時は一括募集となっており、2年生以降にコース分けが行われる学校もあるので、どのような形で入試が実施されるのか確認しておきましょう。
| 学科 | 類 | 入学定員 | 備考 | 
| 創造デザイン工学科 | Ⅰ類 | 80名 | 募集人員には以下を含みます ・Well-being Innovator 特別選抜 10名以内 ・推薦選抜(学校推薦) 120名以内 ・帰国生徒特別選抜 若干名 | 
| Ⅱ類 | 80名 | ||
| Ⅲ類 | 40名 | 
鹿児島高専には、従来、5つの学科が設けられており、その学科ごとに学生の募集が行われていました。
しかし、令和8年度に学科の改組が実施され、1学科3類5コースの体制に変更され、学生の募集は類ごとに分けて行われます。
なお、5つのコースは以下のようになっています。
| 類 | コース | 
| Ⅰ類 | ・コンピュータサイエンスコース ・データサイエンスコース | 
| Ⅱ類 | ・知能ロボティクスコース ・先進エレクトロニクスコース | 
| Ⅲ類 | ・都市環境デザインコース | 
Well-being Innovator特別選抜
鹿児島高専独自の試験制度であり、学科の改組にあわせて新たに導入されました。
推薦選抜との大きな違いは、在学中の学校長の推薦が必要とされない自己推薦の制度であることです。
このほかにも推薦選抜との違いがあるので、しっかり確認しておきましょう。
試験の概要
| 募集人員 | 10名以内 | 
| 出願資格(成績等) | 中学校2年次及び3年次1学期の9教科5段階評定の総計が70以上 または2年次及び3年次1学期の国語、数学、英語の5段階評定の総計が27以上 | 
| 選抜方法 | 一次選抜は調査書とレポートによる書類審査(90点満点) (3つのレポート課題から1つを選択し、レポートをA4用紙2枚以上4枚以内で提出する) 一次審査の合格者に対し、二次審査を行う 二次審査はプレゼンテーション(120点満点) 一人あたり40分の面接で発表(10分)と質疑応答(30分)が行われる | 
Well-being Innovator特別選抜は自己推薦による選抜であり、一定以上の成績であることが条件となっていますが、最も重要なのは自身の考えや思いを相手に伝える力です。
そのため、レポートやプレゼンテーションにより、従来の試験制度とは異なる物差しで合否の判定が行われます。
日程
| Web出願受付期間 | 令和7年12月1日9時〜令和7年12月12日16時 | 
| 出願書類受付期間 | 令和7年12月15日〜令和7年12月19日16時(必着) | 
| 一次審査合格発表 | 令和7年12月25日 | 
| 選抜期日(二次審査) | 令和8年1月10日 | 
| 合格内定発表 | 令和8年1月21日11時 | 
| 入学確約書提出期限 | 令和8年1月30日16時(必着) | 
| 入学手続日 | 令和8年3月4日 | 
Well-being Innovator特別選抜と推薦選抜や学力選抜は併願できますが、二次審査の日程は推薦選抜と一緒になっています。
二次審査を受験するには一次審査を突破しなければならないので、まずは一次審査のレポートが重要になります。
推薦選抜(学校推薦)
高専の推薦選抜の定員は、学力検査選抜の定員より多くなっている学校もあります。
高専を目指す場合、まずは推薦選抜での合格を目指すこととなるので、出願資格は要チェックです。
試験の概要
| 推薦による募集人員 | 120名以内(60%以内) | 
| 出願資格(成績等) ⑴または⑵を満たす者 | ⑴中学校の2年時及び3年次の9教科5段階評定の総計が74以上 ⑵中学校の2年時及び3年次の9教科5段階評定の総計が70以上で、中学校在学中に次のいずれかを満たす者 ①生徒会長または生徒会副会長であった者 ②体育会系部活動で次の基準以上の成績を収めた者・地区予選を経て都道府県大会へ出場した者・詩や軍の大会において優勝した者あるいは準優勝した者・地区予選を経ない都道府県大会で8位以上の成績を収めた者 ③校外体育会系グラブチームに所属し、都道府県大会8位以上の成績を収めた者 ④文科系部活動または校外の文化活動で都道府県水準以上の大会において顕著な成績を収めた者 | 
| 選抜方法 | 第3志望まで出願可 調査書(100点満点)面接(60点満点) 第1志望を優先して合否を判定する 第1志望の志願者数が推薦合格上限数に満たない場合、第2・第3志望で合否を判定する | 
鹿児島高専の推薦選抜は、第3志望まで出願できることに特徴があります。
ただし、合否の判定は基本的に第1志望を優先して行われ、志願者数が少ない場合のみ第2志望や第3志望でも合格の可能性があります。
点数が第2志望や第3志望で合格ラインを上回っていたとしても、すでに第1志望で合格上限数に達している場合は、合格にならないということになります。
日程
| Web出願受付期間 | 令和7年12月1日〜令和7年12月19日16時 | 
| 出願書類受付期間 | 令和7年12月18日〜令和7年12月22日16時(必着) | 
| 選抜期日 | 令和8年1月10日 | 
| 合格内定発表 | 令和8年1月21日11時 | 
| 入学確約書提出期限 | 令和8年1月30日16時(必着) | 
| 入学手続日 | 令和8年3月4日 | 
学力選抜
学力検査選抜では、基本的に入学定員から推薦選抜合格者数を除いた人数の募集が行われます。
また、推薦選抜に出願して合格にならなかった人は、学科などを変更する場合を除いて、手続きをしなくても学力検査選抜を受験できます。
試験の概要
| 学力検査選抜による募集人員 | 70名程度(35%程度) | 
| 複数の類の志望 | 第3志望学科まで選択可 | 
| 学力検査点の配点 | 数学200点、理科、英語、国語各100点の500点満点 | 
| 調査書点の計算方法 | 中学2年次及び3年次の9教科5段階評定の合計90点満点 | 
| 選抜方法 | 学力検査点500点、調査書点90点、面接10点の合計600点で合否を判定する | 
鹿児島高専の学力選抜では、社会の試験を実施しない代わりに、面接が行われます。
学力選抜で面接を行う学校は珍しいので、忘れずに準備しておく必要があります。
日程
| Web出願受付期間 | 令和8年1月5日〜令和8年1月27日16時 | 
| 出願書類受付期間 | 令和8年1月22日〜令和8年1月28日16時(必着) | 
| 学力検査 | 令和8年2月8日 | 
| 合格内定発表 | 令和8年2月20日11時 | 
| 入学確約書提出期限 | 令和8年2月27日16時(必着) | 
| 入学手続日 | 令和8年3月4日 | 
近年の入試の状況
過去の入試の状況を確認して志願者数や倍率などを知っておくことは、受験する際には大変有益です。
学校や学科で迷っている方は、自分が何をしたいのかを考えるのが第一ですが、これらの数値も参考にしておくといいでしょう。
令和5年度入試
| 推薦 | 学力 | 入学者数 | |||
| 志願者数 | 合格内定通知 | 志願者数 | 合格内定通知 | ||
| 機械工学科 | 22 | 20 | 41 | 22 | 42 | 
| 電気電子工学科 | 26 | 21 | 31 | 21 | 42 | 
| 電子制御工学科 | 26 | 20 | 47 | 22 | 42 | 
| 情報工学科 | 49 | 21 | 49 | 21 | 41 | 
| 都市環境デザイン工学科 | 20 | 20 | 31 | 22 | 41 | 
令和6年度入試
| 推薦 | 学力 | 入学者数 | |||
| 志願者数 | 合格内定通知 | 志願者数 | 合格内定通知 | ||
| 機械工学科 | 21 | 20 | 30 | 22 | 42 | 
| 電気電子工学科 | 10 | 20 | 34 | 22 | 42 | 
| 電子制御工学科 | 36 | 20 | 38 | 22 | 42 | 
| 情報工学科 | 41 | 20 | 45 | 22 | 42 | 
| 都市環境デザイン工学科 | 27 | 20 | 34 | 22 | 42 | 
令和7年度入試
| 推薦 | 学力 | 入学者数 | |||
| 志願者数 | 合格内定通知 | 志願者数 | 合格内定通知 | ||
| 機械工学科 | 13 | 19 | 25 | 23 | 42 | 
| 電気電子工学科 | 18 | 22 | 34 | 20 | 42 | 
| 電子制御工学科 | 35 | 24 | 34 | 18 | 42 | 
| 情報工学科 | 35 | 24 | 34 | 18 | 42 | 
| 都市環境デザイン工学科 | 27 | 24 | 43 | 18 | 42 | 
学科の改組が行われる前の段階では、機械工学科や電気電子工学科の志願者が減少傾向にあり、第1志望の志願者が定員を下回っている年もあります。
学科の改組が行われると、過去の状況はあまり参考にならないかもしれませんが、受験を予定している方は一度見ておくといいでしょう。
 
  
  
  
  






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