全国の高専を知ろう ~徳山高専~

高専とは

全国各地に点在する高専を紹介するシリーズの第3弾です。
今回取り上げるのは、山口県周南市にある徳山高専です。

基本情報

学校名徳山工業高等専門学校
所在地山口県周南市学園台
ホームページhttps://www.tokuyama.ac.jp/
設立年度1974(昭和49)年6月
設置学科機械電気工学科
情報電子工学科
土木建築工学科
本科定員各学科40人
1学年あたり120人
設置専攻科機械制御工学専攻
情報電子工学専攻
環境建設工学専攻
専攻科定員1学年あたり12人
徳山高専の基本情報(令和6年度徳山高専学校要覧より)

沿革

徳山高専は、山口県徳山市(現在の周南市)に1974(昭和49)年6月に設置された、国立の工業高等専門学校です。
山口県内にはすでに、1962(昭和37)年に宇部高専が設置されていましたが、高度経済成長と工業化の中、強い要望により設置されました。
第1回入学式は1974年6月15日ということで、かなり異例の形で船出を切ったことが分かります。
開校当初から現在の3学科制が敷かれており、国立の工業高専としては最も規模の小さな学校、かつ沖縄高専の次に新しい高専(統合してできた仙台・富山・香川・熊本を除く)となっています。
ただ、比較的新しい高専とはいっても、創立50年を迎える伝統と歴史のある学校です。

周南市はどんなところ?

周南市は山口県の南東部にあり、瀬戸内海に面した都市です。
以前は徳山市でしたが、平成の大合併により、2003(平成15)年4月に徳山市を含む2市2町の合併により、周南市となっています。

周南市は瀬戸内海に面しており、大規模な石油コンビナートが形成されています。
歴史的に見ても、太平洋戦争当時は海軍工廠が置かれ、太平洋戦争の後も重化学工業を中心に発展してきました。
現在も周南市に本社や生産拠点を置く会社は数多くあり、徳山高専はそのような企業に人材を供給する役割を古くから担ってきたという経緯があります。
また、徳山駅には東海道・山陽新幹線の「のぞみ」が1日数本停車するダイヤとなっており、周南市はのぞみが停車する最も人口の少ない都市となっています。

徳山高専は、徳山駅から直線距離で5㎞ほどの場所にあります。
徳山駅からバスに乗り、所要時間20分弱で到着します。

学生情報

学生数(男女別)

令和6年度徳山高専学校要覧によれば、学生の人数や男女比は以下のようになっています。

1年
男子女子合計
機械電気工学科39241
情報電子工学科261642
土木建築工学科212142
2年3年
男子女子合計男子女子合計
機械電気工学科3574235540
情報電子工学科3384133639
土木建築工学科311748262046
4年5年
男子女子合計男子女子合計
機械電気工学科3443846248
情報電子工学科2993829736
土木建築工学科232144172441

各学科の人数を男女別に見ていくと、その傾向がはっきりと表れています。
機械電気工学科はずっと女子の比率が低く、年々少しずつ割合が増えていくのかとも思われましたが、1年生の比率は大きく下がっています。
一方、土木建築工学科は女子比率が高く、女子の方が人数が多い年もあります。
情報電子工学科はその中間にありますが、今の1年生は大きく女子の人数が増えており、今後もこの傾向が続くのか注目されます。

学生出身地

令和6年度徳山高専学校要覧によれば、本科生626人のうち山口県出身者が615人、山口県外出身者が4人、外国出身者が7人となっています。

1年2年3年4年5年
周南市4256535446
下松市1928162131
岩国市1910101818
光市181315811
防府市1281058
その他の山口県131519109
その他の県21010
外国00232
徳山高専の学生の出身地(令和6年度徳山高専学校要覧より)

徳山高専の学生は、そのほとんどが山口県内の出身で、山口県以外の県の出身者は、5学年あわせても4人だけとなっています。
山口県内出身者のうち、最も多いのは地元周南市の出身者です。
ただ、例年全体の4割程度を占めていたものの、今の1年生はおよそ3分の1(33.6%)とやや低くなっています。
そのほか、学校のある山口県南東部の出身者が多くなっており、山口県最大の人口を有する下関市の出身者はわずか2人となっています。

学生寮の入寮者

男子女子合計
1年20828
2年12416
3年19625
4年11314
5年20222
合計8223105
徳山高専の入寮者数(令和6年度徳山高専学校要覧より)

寮の定員は男子120人、女子31人の合計151人となっています。
これに対して、令和6年4月1日現在、105人が寮生活を送っているとされています。
山口県内の出身者が多い一方で、交通の便が良いとはいえない面もあり、入寮者の割合はやや高めということができます。

入試情報

推薦入試と一般入試

推薦入試の募集人員は、定員の50%程度となっています。
推薦入試の出願基準として、「第2学年及び第3学年(2学期までの記録に基づく)の9教科の学業成績の総計が5段階評価で72以上(9教科の平均4.0以上)または5教科(国語、社会、数学、理科、英語)の学業成績の総計が5段階評価で40以上(5教科の平均4.0以上)」と定められています。
2年生と3年生で、いずれもオール4以上の成績をおさめることが目標となります。
もちろん、推薦入試に出願するだけではなく、推薦入試の合格を目指すのであれば、1つでも多く5をとることが求められるでしょう。

推薦入試の出願基準第2学年及び第3学年(2学期までの記録に基づく)の9教科の学業成績の総計が5段階評価で72以上(9教科の平均4.0以上)または5教科(国語、社会、数学、理科、英語)の学業成績の総計が5段階評価で40以上(5教科の平均4.0以上)
徳山高専の推薦入試の出願基準

一般入試では、学力試験として理科・英語・数学・国語・社会の5科目が実施されます。
各教科ごとの配点は以下のようになっています。

理科英語数学国語社会
150100200100100
徳山高専の一般入試(学力試験)

理科と数学が配点で大きな割合を占めており、特に数学は合否に大きな影響を与える科目となっています。
また、一般入試の判定に用いられる調査書の全体あるいは教科ごとの点数は明らかにされていません。

入学志願者数

各学科ごとの志願者と入学者については、以下のようになっています。

令和4年度入試志願者入学者定員に対する志願者倍率
機械電気工学科74401.9
情報電子工学科101412.5
土木建築工学科102422.6
徳山高専の志願者数(令和4年度入試)
令和5年度入試志願者入学者倍率
機械電気工学科67401.7
情報電子工学科139403.5
土木建築工学科82482.1
徳山高専の志願者数(令和5年度入試)
令和6年度入試志願者入学者倍率
機械電気工学科72401.8
情報電子工学科135403.4
土木建築工学科100422.5
徳山高専の志願者数(令和6年度入試)

いずれの学科も、まんべんなく志願者を集めています。
中でも、情報電子工学科は最も倍率が高くなる傾向にありますので、希望している方は厳しい受験になることも想定しておくようにしましょう。
倍率としては推薦入試の方が実質倍率は低くなるので、まずは推薦入試に出願できるレベルに達することが目標となります。

卒業後の進路

一般的に、高専の卒業生の半数は就職、半数は進学するといわれますが、学校によってその比率には違いがあります。
徳山高専の場合、令和5年度卒業生の進路は以下のようになっています。

卒業生就職進学その他
機械電気工学科4531131
情報電子工学科4929182
土木建築工学科4432111
徳山高専の令和5年度卒業生の進路

学科により若干の違いはありますが、徳山高専の場合、進学より就職を選ぶ学生が多い傾向にあります。

就職

高専には、毎年多くの企業から求人が寄せられています。
徳山高専の場合、令和5年度卒業生に対する求人数は以下のようになっています。

求人数求人倍率
機械電気工学科66321.4
情報電子工学科63822.0
土木建築工学科39212.3
徳山高専の令和5年度卒業生に対する求人数

どの学科も数多くの求人が寄せられ、求人倍率は20倍を超える学科もあります。
就職先を地域別に見ると、機械電気工学科では山口県内が10人、関東地方が11人となっています。
情報電子工学科では、関東地方が12人と最多で、山口県内は3人にとどまります。
土木建築工学科は、山口県内が11人、ついで近畿地方が8人と多くなっています。

進学

徳山高専を令和5年度に卒業した学生の進学先は、以下のようになっています。

機械電気工学科情報電子工学科土木建築工学科
徳山高専専攻科475
豊橋技術科学大学101
山口大学111
九州大学111
その他693
徳山高専の令和5年度卒業生の進学先

最も進学者が多いのは徳山高専専攻科です。
ただ、これ以外の大学については特定の大学に偏りはなく、地域に関係なく希望する大学に進学していることが分かります。
他の高専では多くの学生が進学先に選んでいる長岡技術科学大学はゼロ、豊橋技術科学大学も2人にとどまる一方、地元の山口大学と九州大学に3人が進学しており、大学としては最多となっています。



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